spokon.net&梅津研究室

東小学校池水環境実験報告
池水の透視の推移
東小学校の池における環境実験の概要writing by T.UMETSU P.hD.
  東小学校の池における環境実験について説明します。 平成14年4月8日現在、東小の環境池(10m×3m×H0.4m:水量12m3)に、 2個の炭素繊維水中素材を設置しています。

 
炭素繊維水中濾材

  一つは、横1.6m×幅50cm×高さ50cmです。もう一つは、横1m×幅1m×高さ50cmです。
  炭素繊維濾材は、塩ビコーティングをした鋼管フレームに巻きつけています。 そのため、錆に強く、強度もあります。上部には、土こぼれを抑えるための人工マットを敷いていますが、 実際には隙間が多く、上に人が乗ることはできません。
  また、側面には、炭素繊維でできたフェルトを適所に張っています。 このフェルトは同様に腐食に強く、微生物がつきやすく、メダカの卵も漂着しやすい素材です。 このマットを陸上に導くように設置したことにより、平家蛍の幼虫の上陸経路となることを狙っています。
濾材フレーム上部には、人工芝を引くことによって、沈降防止と植物の根床を考えています。 土を敷き、”セダム”という植物を植えます。セダムは万年草で冬場も枯れることなく、生息します。 春になると黄色の小さな花を咲かせ、8月初め頃まで開花しています。 この植物は「メキシコ万年草」と呼ばれ、日本では既に野生化しています。 東小学校に移植したものは、メノマンネングサ、サカサマンネングサ、ツルマンネングサ、などの複数種です。


        メノマンネングサ               サカサマンネングサ                ツルマンネングサ

  この植物は、屋上緑化などに用いられる植物です。 根が浅く、横に広がり渇水に強いという特徴があります。 ただの雑草と比較すると、根の深い植物より弱いため自然界では護岸堤防付近のコンクリート上土に群生しているのを見かけました。
  この植物を最初に植えて、セダムが横に広がり、濾材フレーム上部の土を早期に覆ってしまうことがねらいです。 6月の梅雨時、大雨が降ると上部の土がこぼれ落ちてしまいます。 それを防ぐため、できるだけ早く植生を施す必要があります。 そして、冬の間も根が土を抑え、土崩れを防ぐことが必要です。 万年草を用いるのは景観上と共に構造上の強度を維持するという目的があります。

 
植生を施した炭素繊維水中濾材:2002/4/24

  また、予定では5月の終わり頃に平家蛍の幼虫を投与しますが、直ぐに上陸を開始しますので、 その後は池内部も濾材上部もいじることができなくなります。 それより後は、陸は完全放置が基本です。自然環境の復元・創出・維持は、 できるだけ生物の存在活動とその能力を生かし、人間はメンテナンスをやりすぎないことが重要であると考えています。


  さて、設置前4月2日の池の水質について報告致します。特に窒素に関してですが、 硝酸塩が0.2mg/L、アンモニア、亜硝酸は検出されていません。 したがって、窒素成分から見てこの池は極めて良い水質です。 しかし、透視度は12cmですので、濁りがひどく、一見汚いとされる池に属します。 ただし透視度自体は、水中生物に対してほとんど影響しません。
  この透視度を悪化させている原因はアオコです。 アオコの発生原因は主として窒素とリンですが、 我々が測定不可能であるほどの微小な量で発生することが可能です。 そのため、アオコの除去に関して様々な手法がありますが、 我々はアオコを直接除去する手法を開発しています。 アオコが生物に与える影響はさほどありませんが、毒性成分を有しており、 景観の点からみても排除する方が良いとされています。
  炭素繊維水中濾材は、アオコを付着させその能力の分だけ透視度を向上させます。 そして、繊維に付着した様々な成分が微生物から小生物に至る食物連鎖の場となり、 池水内の生物活動を活発にします。そして、ここにメダカや金魚は産卵を行い、 稚魚の隠れ場となってゆくことになります。


炭素繊維濾材に付着したアオコ

  平家蛍は、自然界でも沼や池に住む蛍です。 その環境で最も重要な項目を以下に挙げます。 サカマキガイ、モノアラガイ、タニシ、カワニナ、などの淡水域に生息する貝が豊富に存在すること。

 
左からカワニナ、サカマキガイ、モノアラガイ     サカマキガイを捕食する平家蛍の幼虫
  • 上陸のための水際陸地が存在し、人間がその域に手を出さないこと。
  • 産卵のための湿度の高い日陰が水際陸地にあること。
  • 池内に、鯉、フナ、金魚、などの雑食性の巨大魚が生息していないこと。

  •   上記の条件の中で、既に2番目の日陰に関しては、 濾材フレームが日陰域を作りましたので大丈夫です。 現在の状況では、貝類が極端に少ないこと、金魚の数が多すぎるということが挙げられます。
      メダカから始まる生態系を実現するためには、金魚は捕獲し、移動した方が良いと思います。 金魚に関しましては、別に金魚水槽を設置することをご提案いたします。

    今後の予定

  • 5月連休明け:泡沫浮上分離装置によるアオコ除去装置の設置
  • 5月中:金魚の捕獲とサカマキカガイなどの貝の補充
  • 5月の終わり:平家蛍の幼虫投与
  • 6月半ば:泡沫浮上分離装置の取り外し
  • 7月初旬:平家蛍飛翔
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