THE SPOKON.NET & 梅津研究室

洗排水処理システムの開発と実証実験
2003.02.11 前橋工科大学 助教授 梅津 剛


1.はじめに

「循環社会適応型ハイブリット排水処理システムの開発」として、
洗濯排水をターゲットとした実用性を考慮した小型の排水処理システムの開発とその実験結果について報告する。

界面活性剤を多量に含むクリーニング工場の排水は、自然界に棲息する生物にとってより深刻な害を有するものである。
洗濯機よりダイレクトに排出される液中にメダカを投与すると、わずか数分間で死滅する。
これは、界面活性剤の成分が魚類のうろこを溶かしてしまうことが原因であり、
水環境問題にとって解決しなければならない大きな汚濁発生源の一つとなっている。

下水道網の整備されていない地域におけるクリーニング工場では、
特に処理をしないままに近隣の河川に放流される場合が多く、
その河川流域における生態系を破壊する要因となっている。

ここで開発した選択排水処理装置は、実際のクリーニング工場に設置され、
その実証実験をほぼ1年間に渡って行ったものである。

小規模排水処理施設に属すると考えられるクリーニング工場は、その排水の量と質に幾つかの特徴がある。
本章の実験場所とした工場では、日平均3m3の排水が発生するが、その量や汚れの度合いは、日々変化する。
多量の毛布の発生する春から夏にかけては、処理量が1.5倍になる。
このように、処理水量の増減があること、また、汚れの度合いが変化すること、これが第一の特徴である。
したがって、実用性を考慮する場合、年間を通じた処理量の変化に対応した装置が必要である。

また、洗濯機はいわゆるバッチ処理であり、洗剤を用いた洗浄処理と、その洗剤を流し落とす、すすぎの処理に別れ、
その量が不定期に、短時間で多量に排出される。その量は本実験場所では100L/min以上にもなり、
この第二の特徴は、次の第三の特徴と供に、本システムで開発された物理濾過装置を考案する要因となっている。

第三の特徴は排水中に混在する固形物である。
クリーニング工場に持ち込まれる衣類、シーツ、毛布などからは、意外なほど固形物が発生している。
糸くず、紐、紙、ビニール片などの浮遊性のものから、ボタン、金属片、プラスティック性の名札、
安全ピンなどの大型の沈降性物、そして、処理水中に混合した形、
もしくは界面活性剤で分離された形として水中に漂う垢や埃といった極微小なもの、などである。
これらの固形物は、排水処理装置の各所、各過程において大きな、想像以上の大きな障害となり、
いかに優秀な処理能力を持つ反応槽を考案したとしても、実際にはこの固形物が原因となって、
長期的にその効力を発揮することができなくなってしまうのである。

第四の特徴は、その成分である。クリーニング排水を数日容器に入れて放置すると、
洗剤の甘い匂いに混じって、入浴しない場合に発生する異臭が際立ってくる。
即ち人垢の腐敗した匂いである。
しかしこの成分が含んでいるものの、いわゆる下水排水とは異なり、アンモニアは極微小量で、
窒素分が少ない。この特徴は、好気処理を用いる場合の処理指標として、
窒素はその差に顕著に表れないものであった。
したがって、処理指標とする測定項目はCODと透視度としている。

このような特徴を有する洗濯排水において、本コンソーシアム事業における申請主題の主旨に即し、
これまで得られた様々な水処理技術を連成した形で組み立て、排水の特徴のみならず、
小規模工場の量的特長である間欠的流出に対応した処理システムを製作、実験を実施した。

核となる技術は「低濃度オゾン泡沫浮上分離装置」である。0.1g/h〜0.4g/h程度の
低濃度オゾンを用いてオゾン曝気をある程度の時間行うと、
CODが数十パーセント減少することは良く知られている。
さらに、数十分間のオゾン曝気を反応性の良い細長い縦管で実施すると、
脱色脱臭というオゾン特有の効果と共に、粘性を帯びた泡の発生が見られる。
そして、この泡が管上部に押し上げられ破裂し、その部分に水中の微細な混在物質がへばりつくことが確認でき、
底部の水は無色透明へと変化していく。
この現象は、大気曝気による微細気泡のみでも発生し、
観賞魚装置の中では「プロテインスキマー」と呼ばれる製品として知られている。
ところが、大気曝気の場合にはミクロン単位の極微細な気泡を要求され、
そのため散気管の頻繁交換や高圧のブロアーが要求される。
一方、オゾンを用いる場合には、数ミリの気泡においてもこの現象は発生し、
さらにCODの減少効果、脱臭、脱色といった、洗濯排水に必要な処理が並行される。

このことから、核となる処理過程として、この手法を用いて界面活性剤成分を分離することができるのではないだろうか、
これが本研究開発の原案となっている。
 

最終的に処理水は河川に放流される。
したがって、自然環境、生物環境に適応した処理として、微生物処理を行うことが、長期的にも経済的にも適応している。
しかし、微生物膜に対して与えなければならない酸素、排水中の溶存酸素濃度を上げるためには、
エアレーションによる曝気、もしくは、何らかの方法で液体中に大気の混入という現象を発生させなければならない。
ところが、多量の界面活性剤を含む処理水は、曝気により膨大な泡の発生を生み、
この現象は通常の反応槽形状では対処できない状況(図-2)となる。

ここに低濃度オゾン泡沫浮上分離を用いた界面活性剤の分離が適用されることになる。
本システムによる実証実験では、洗濯排水は全体量の90%程度が泡の立たなくなった水として分離され、
生物分解処理が可能となった。残り10%は、多量の界面活性剤を含む水として別系によって処理されるものとなる。

本システムの概要は上記の技術を中心とするものである。
さらに、実用性を重視することから、循環ポンプや導流管の目詰まりなどを阻害する
前出の多量他種にわたる固形物を排除するための、物理濾過装置の開発をあわせて行い、長期的運転を目標とした。

好気処理には多段階生物膜タンク方式を用い、濾材には炭素繊維とペット繊維が用いられた。

また、10%発生する高濃度の界面活性剤含有水は、初期には電気分解処理を実施したが、
メンテナンス性と安全性に問題が生じたため、環境に対する優位性を考慮し、
高濃度の界面活性剤含水の発泡を回避する手段として、
「大気接触型無曝気方式」の好気処理槽を考案し試験的に実施している。

処理系の最終段階として、炭素繊維フェルト材による物理濾過を設置し、透視度の向上を計り、
さらにその処理水の生物への影響の調査と処理効果のアピールとして、
洗濯排水を用いた小型ビオトープを設置している。



2.実験場所とこれまでの処理経過

群馬県郊外に在るクリーニング工場排水液を用いる。日平均排水量は3 m3、最大時4 m3ほどである。
営業時間は8時より18時頃までで、数機の洗濯機を用いて処理が行われている。
排水は9時頃より始まり、午後4時頃までの7時間に日排出量の90%以上が不定期に発生する。

 ここでは、数年に渡り幾つかの排水処理装置が試験されたが、
いずれも故障、機能低下などにより長期的運転を実施できず数ヶ月の継続性が実現されていない状況であった。
その原因は、洗濯排水そのものの生物的または科学的処理手法の問題ではなく、
実用性に欠けた物理濾過機能やメンテナンス手法の未熟さにあると考えられる。
主たる原因は、膨大量の固形物による各所の目詰まりであり、また、排水に含まれる界面活性剤の引き起こす発泡、
さらに、メンテナンスの複雑性、煩雑製による維持不能化などであった。
実用化を指向するシステムでは、核となる処理機能を長期に実現する付帯設備を、
場の状況に合わせて設置することの重要性がクローズアップされている。



3.排水の水質などについて

洗濯排水は、COD(cr)の測定によってその水質を判断したが、排出口より流出する液体は、
洗濯処理過程の違い、洗われている衣類により、濃度には大きな差がある。
処理量を安定に定量化するために、4 m3の貯水タンクが置かれているが、
その中において水質は平均化された。実験期間中の平均的COD(cr)は、400mg/L程度、
透視度は12cm程度で、白く濁った水として、これらの値は年間を通じてほぼ同じであった。
排水は、時として40度以上のお湯として排出されるが、
貯水タンクを経て処理過程に入る際には、気温の変化に対応している。



4.洗濯排水処理システムの説明

開発実施したシステムの処理フローを図-3に示す。

不定期に多量に排出される洗濯排水液には、流速、流勢が激しく一見してSSや固形物は目立たない。
しかし、実際には多量の固形物が含まれている。
これらは、短期的には取水ポンプの目詰まりを呼び故障の発生となり、
処理過程の中では各反応槽の底部に堆積し、その機能を低下させる。
したがって、システムの最初に置かれるものは、物理濾過装置である。
本研究で開発した物理濾過装置は、
@不定期多量という排水により、断続的に排水が停止すること、
A平日は夕刻18時頃で営業が終了するため、その後は排水が発生しない、
B排除すべき固形物は沈降性の高いものと、糸くず紐といった浮遊性のものに分けられる。
という特徴に着目した。このことにより、沈殿とフィルター除去の2方式を組み合わせた
自動逆洗、自動排除方式の物理濾過槽を開発し設置した。

この物理濾過槽の機能評価は、処理過程における水質に表現されるものではない。
水質以前に、物理濾過装置がない場合には、数日間すら、それ以降の各機能を維持することが
できない状況であったものが改善された。
 



物理濾過を通過した水は、貯水タンクに蓄積される。

貯水タンクより、低濃度オゾン曝気による泡沫浮上分離装置にポンプアップし、
一定時間をかけ界面活性剤成分と、それを含まない排水に分離される。
前者は分離装置上部より泡となり泡けしタンクに貯留する。
後者は、段階的に処理される好気処理槽へ排出される。
この処理は、基礎実験により定めた時間でバッチ運転とする。
連続流入連続排出処理は、界面活性剤成分の除去において効率性が低く、オゾン曝気の効果も薄い。

界面活性剤を多量に含む水は、移動時は全て泡である。
「泡を消す」方法が懸念され、幾つかの機械的方法を試験したが、
攪拌や散水などの機械的で複雑な装置を用いることよりも、
最終的には空間的余裕を持たせたタンク内で自然に泡が破裂する効果に期待し、
本システムでは、平均10ml/min量で発生する泡が、0.7m2程度の面を有するタンク水面で
増幅することなく消滅方向に収束した。

泡沫浮上分離で泡の成分が除去された90%の排水は、生物膜処理として設置された3つのタンク、
容積総量1500L、水総量1000Lにて処理される。
滞留時間は、各4時間である。
第一タンクはペット繊維濾材、第二、第三タンクは炭素繊維濾材が充填され、
エアストーン5箇所により分散的に曝気する。水深60cm、ブロアーは100Wh1台である。

好気処理を経て、容積100Lの沈殿・物理濾過に至る。
この設備の主目的は、処理水の調査でり、また処理水によるビオトープに対しSSを排除した水を投入するためである。

処理装置全体は、通気性の良い屋内で実施され、ビオトープは屋外に設置した。ビオトープに用いた処理水は、
体のごく一部(0.5L/min)をかけ流すものであり、それ以外は、河川に放流している。



5.高濃度界面活性剤含水の処理について

泡沫浮上分離上部より泡となって排出された全体の10%の水は、
界面活性剤のみならず、浮上可能な細かい糸くず、垢、埃が泡の核となって混入したものである。
したがって、90%のこれ以外の処理が可能であったとしても、汚れの多くはこの水に含まれていることになる。

この悪質な排水に対して、本研究開発では2種の方法を適用した。
これは並列ではなく、一定時期、方法1としての電気分解処理を行い、
その後方法2として無曝気方式による生物膜処理を実施したものである。

5-1 電気分解による処理
プラス極にアルミ板、マイナス極に銅板を用いて、水中にて直流電流を流すことにより、
アルミ溶解作用によって凝集剤効果が発生し、さらに電解による微細気泡が攪拌・凝集効果を促進する、
この手法によって水中の濁り成分は、浮上物及び沈殿物と極めて透明な水に分離する。
この現象を用いて、装置を作成し、この分離排水に適用した。バッチ処理量7L、
処理時間3時間、水中ポンプ攪拌を併用し、浮上物は全て気泡を抜き沈殿させ、底面排出とする。
電極間は8mm、電極板は0.3m^2、電圧DC16V、初期の通電流は3Aである。


電解にて発生する浮上物は、気泡を抱いていることにより、実際にはアルミ溶解成分を含むため比重が大きい。
したがって、浮上物を越流により排除することを考えるよりも、全て沈降させる方が合理的である。
実際、浮上する量よりも沈降し体積する両方が多いことが観察された。
即ちこの電解による浮上分離効果には全く期待しないものとした。
それよりも沈降分離効果に強く着目し、サイホン分離による沈殿物の自動凝縮排除の装置化を行っている。
これは、バッチ処理により沈殿槽構造を持つ容器に攪拌した電解処理水を投与し、
一定時間沈殿させ、次のバッチ処理で投与される流入によって、
底部沈殿物のみが分離排除されるという構造である。

この手法により、1バッチ7Lのうち、高濃度に凝縮された沈殿物は0.5Lの量として排出され、
濾紙にて脱水処理、その後乾燥処理を行いうる。
濾紙は定期的に交換し、残留物は乾燥実験に使用される、というシステムとした。

この装置は、透視度の極めて高い水を得ることが可能であったが、
アルミ溶解による危険性、交換メンテナンスの煩雑さ、電極板消耗と表面劣化による電流量減少、
それによる機能の低下、容器内の泥付着、攪拌ポンプの目詰まり、濾紙交換メンテナンスなど、
様々な障害が発生した。
このように、この作成した装置の構造上の不完全性が明らかとなったため、
1ヶ月ほどで終了し、視点を変えて、方法2の微生物処理に変更している。

5-2 大気接触型無曝気方式による処理

この手法の表現が適切ではないかもしれないが、エアレーションや、
噴流、散水濾床などの方式による水中に溶存酸素を与える方法を用いることのできないこの
高濃度の界面活性剤に、曝気を行わずに酸素を与え、生物膜に付着した微生物に、
より時間をかけて処理を行う手法として、この装置を開発した。
滞留時間は、24時間であり、バッチ処理で1日の発生量を全て入れ替えるものである。
この装置で処理された水は、90%の界面活性剤を含まない水を処理する好気処理槽に移動し、
さらに生物処理を行う。

この運転は全て自動化され、電解処理時のような多量の固形物は発生せず、
発生するSSは、反応槽全体に蓄積していく微生物膜、すなわち汚泥となる。
 

したがって、最終的に現在まで機能している本システムは、
低濃度オゾン泡沫浮上分離という前処理により、
通常の曝気による生物膜反応槽のみで処理できる90%の排水と、
24時間の無酸素曝気による生物処理を経てから、同様の処理を実施する10%の
高濃度排水とに分けた分離処理であるといえる。
このように、幾つかの処理技術をハイブリットした形で、洗濯排水の浄化を行うシステムを構築したものである。


6.実験結果および考察

 本システムによる洗濯排水処理システムは、5月半ばより開始している。
本報告では、12月までの処理について報告を行う。
測定項目は、透視度とCOD(cr)である。界面活性剤量を示す指標は測定していない。

 実験は、初期においては、低濃度泡沫浮上分離装置と好気処理のみで行い
、6月中旬より、高濃度界面活性剤水にたいして電気分解処理を適用した。
7月半ばより、電気分解処理を終了し、大気接触型無曝気方式による処理に変更した。

図-6は透視度のグラフ、図-7はCOD(cr)のグラフである。
透視度は数日おきに計測したが、CODは1ヶ月に一度の計測とした。
凡例において、「原水」とは、貯水タンク内の排水を指す。
「泡沫浮上分離装置」とは、低濃度オゾン泡沫浮上分離によって、界面活性剤を除去された90%の排水を指す。
「泡けしタンク」とは、泡として取り除いた残り10%の高濃度界面活性剤を含む排水を指す。
「無曝気」とは方法2の大気接触型無曝気方式による処理後の排水、
「電解」は方法1の電気分解による処理で透明化した処理排水をさす。
「第3好気処理」は生物膜による好気処理の処理水をさし、
「物理濾過」は、本処理システムの最終出口の処理水を指す。

また、第3好気処理槽には、界面活性剤処理を確認するため、メダカを十数匹投与し、生存状況を観察した。
処理水を用いたビオトープは秋口に製作が完了した為、植生、メダカ、貝類などの生態の観察にとどめ、
生態系の確立や排水の影響などの状況は今後調査していく。

 透視度とCODを照らし合わせて考察すると、秋期終わりまでは、極めて安定な処理が得られている。
第3好気処理と最終出口では、透視度に数十センチの差が生じる場合があるが、
CODは双方とも50mg/L程度で差がない。
これは、水を濁らせている原因が物理濾過される無機質の塵のような成分であることを示している。

第3好気処理に投与したメダカの死亡は、冬期、急激な温度低下が発生した際以外は見られず、
メダカに対する悪影響の要因はこの実験期間では見られていない。
なお、メダカが死亡した12月の同時期、他の屋外実験場所のいたるところで同時にメダカは死亡している。

時系列で顕著な差が見られるのは、透視度においては第3好気処理で、その他の項目は、
期間を通じて同じ程度の処理が行われている。
しかし、冬期になり、温度は低下したことにより、透視度は悪化した。
冬期においても透視度を重視する場合には、処理水温を上げるなどの対策が必要であるが、
CODを見ると、同程度の処理は行われており、その必要性を感じない。
総量2m^3あまりの水量の温度を10度以上、上げるエネルギーを与えることは巨大なエネルギーを投じなければならない。

処理過程でCODを見ると、原水は400mg/L前後、低濃度オゾン泡沫浮上分離後300前後、と、
ここで平均的に25%の減少が確認される。しかし、10%の高濃度界面活性剤を含む水は1500mg/L前後であり、
実質的にはオゾン曝気でCOD要因はなくなってはいない。

明らかに、水質的に処理されたと判明するのは、好気処理を通過した水である。

また、1ヶ月間にわたり実施した電気分解処理では、2度のCOD測定において、900mg/Lという高い数値が検出されている。
これは、濾過後の透視度が100cm以上の透明な水であり、観察では出口の物理濾過後の水よりも浮遊物は無い。
この電解処理した透明な水を曝気すると、泡立ち界面活性剤の成分が処理しきれていないことがみられ、
メダカの投与では、原水と同様に数分後に死亡した。

方法2の大気接触型無曝気方式による処理に変更した際、装置設置とオペレーション手法などに手間取った為、
CODの計測は10月からとなっている。方法2でも、電気分解処理と同様のCOD値であり、
効果は変わっていないように見られる。そればかりか、透視度に至っては20cm程度と、より一層処理されていないと見て取れる。
ところが、このCOD値において、メダカは10日以上生存可能であり、
明らかにCODなどの測定では計れない質の変化をもたらしている。
また、生物処理したこの水は、ダイレクトに好気処理槽に投与可能であり、
このことによって、好気処理の機能を妨げてはいない。
結果としては、好気処理の滞留時間が過剰であると判断されるかもしれない。
事実、第ニ好気処理でもメダカは生存しうるからである。
しかし、コストパフォーマンスで考えれば、好気処理はイニシャルコストに依存し、
ランニングコストではさほど影響が出なく、長期的に安定な処理を維持し
続けなければならない実際の処理過程では安全率を場の許す限り設けた方が良いと考えられる。



7.おわりに

本全体システムにおける消費電力については、間欠運転が多いため、それを平均化して計上すると、
オゾン曝気200W、無曝気水移動ポンプ40W、好気処理曝気100W、その他輸送ポンプ30W、合計約360Wである。
エネルギーは低く抑えられたと考察する。

下水道が完備されれば、
こうした直接河川に投与しなければならない施設は水処理を含めなくてよくなるであろうか。
おそらく、これはそうではない。
集水して一箇所で処理する方式に全てを頼ることは、危険である。
合併浄化槽、家庭用の浄化槽など、小型で高性能であるとともに、
導入価格が安く、ランニングコストが低い処理手法は今後ますます必要とされていくと考えられる。

メンテナンスに関して、必要無い装置ではなく、なにがいつ必要なのかがはっきりとわかっている装置であるべきで、
水処理においてメンテナンスが不要であるということは考えにくい。
また、不必要に高額な機材を付け加えるよりも定期的に交換した方が経済的である場合も考えられる。

本研究開発で提案した洗濯排水処理手法は、
大規模下水処理場の様なさまざま種類の集合である得体のしれない汚水となったものを相手にするのではなく、
排水の性質が明らかで、例えば処理濃度が一定で、その流出時間帯などに特徴がある場合、
それらに合わせた処理装置を構築するための例である。
ここでは、低濃度オゾン泡沫浮上分離の効果を、界面活性剤の分離という目的で用い、
物理濾過では、間欠に流入するという特徴から逆洗とごみの自動排除というシステムが取り入れられた。

その他、各種の個別の水処理技術は、質と量を制御する単一の技術であっても、
それを効率的に組み合わせることによって、より安価で性能の高い装置とすることが可能である。


【参考文献】

1.「微量オゾンを用いた泡沫浮上分離によるアオコ系外排出手法の解析」明田川、梅津
第30回関東支部技術研究発表会 (平成15年) 土木学会

【本研究開発による学会発表】

1「排水処理における物理濾過手法と装置開発」宮田、梅津、
第30回関東支部技術研究発表会 (平成15年) 土木学会

2.「洗濯排水処理システムにおける電解処理手法の検討」朽岡、梅津、
第30回関東支部技術研究発表会 (平成15年) 土木学会
3.「植生を含めた小規模ビオトープの構築に関する研究」高橋、梅津、
第30回関東支部技術研究発表会 (平成15年) 土木学会