[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第35回】(08.10.25)


【管路の流れとエネルギー損失】

流れをシンプルに考えたい際には、水の粘性による壁面との摩擦力なんぞは無視しましょう・・・

という場合が多いのですが、実際には、それを知りたいっ!てことが多いですね。

「そりゃ、実際問題としては、そうです。」

管の中を水が流れて行く・・・満載状態で。管路の流れです。

管内の各断面では、位置エネルギーと圧力のエネルギーと流速のエネルギーが、

管が高くなったり、低くなったり、太くなったり、細くなったり、曲がったり弁があったりで・・・・

それぞれの断面で、エネルギーが変換されています。

「で、全部足すと、エネルギーは同じ。」

と、思いたいところですが、実際には、全然そうではありません。

流れれば流れるほど、エネルギーは減っていきます。

それが損失エネルギーです。



では、一番基本となる、損失エネルギー、

管摩擦損失エネルギーをご紹介しましょう。

【直管内流れの摩擦損失エネルギー】

水平に置いた真っ直ぐな・・・円管があって、その中を定常流で水が流れていると思って下さい。

「へぇ・・・・イメージしました。」

ながーぃ管です。とっても長い管・・・・・

「へぇ・・・じゃ1km位あると想像しました・・・・」

真っ直ぐ管だから、断面積はAで一定。

この中を一定量Qの水が、ずーっと流れているわけですけど

・・・エネルギー損失ってありますよね。

「まぁ・・・実際の管ですから。あるでしょうね。」
 

管の上流側 (高さは同じだけど) から比べれば、

ずーっと下流のほうでは、だいぶエネルギーが減ると思いませんか?

「そ、そりゃぁ、エネルギーは減ってるでしょうね〜。」
 

じゃ、実際には、その管の流れの何が変わったんでしょう?具体的には何が小さくなったんでしょう?

なにが、減ったのでしょうか。
 

「え?具体的に?水量かなぁ?下流に行くほど、水量が減る?・・・・とか」

定常流です。ずっとQが一定量流れていると仮定してますよ。

「そ、そっか・・・どの断面も、流量は一定なのか。じゃ流れる量は減らないなぁ・・・

あ!じゃ、あれだ。流速が段々遅くなる?

ほれ、玉転がしても摩擦で段々遅くなって止まるように。」

ホント?
 

「え?違うの?・・・・・あ。流量が一定で、断面積が同じ直管だ・・・

定常流で Q=AU なんだから、平均流速が変化するわけないのか。」
 

そうです。流量Qも平均流速Uも上流下流のどの場所でも同じなんです。

「ぅえー・・・じゃ、何も変わらないじゃん。管が磨り減るとか?水が気体になるとか・・・・」

って、ぼけてる場合じゃありません。
 

エネルギー保存のベルヌーイの式は

U2/(2g) + p/(ρg) + z = H

速度水頭 + 圧力水頭 + 位置水頭 = 全水頭で一定

でしたね。ここに、損失水頭 hf を加えると、

U2/(2g) + p/(ρg) + z + hf = H

速度水頭 + 圧力水頭 + 位置水頭 + 損失水頭 = 全水頭で一定

となって、考えやすくなります。

「はぁ・・・・損失エネルギーも水頭の形にするんですね。」

では、下図のように、直管流れの2つの位置に静圧を測る管をつけて見ましょう。

「おお!そ、そうか・・・圧力が・・・・減ってる。」
 

そうです。z1=z2なので、断面1と断面2に損失を考慮したベルヌーイの定理を適用すれば、

U12/(2g) + p1/(ρg)  = U22/(2g) + p2/(ρg) + hf

となり、Q=AU が一定で、直管だから U1 = U2

つまり

h =   p1/(ρg) - p2/(ρg)  =  ( p1 - p2 ) /(ρg)

となるわけです。

「なるほど・・・管路流れの損失エネルギーは圧力差に現れる、か・・・・

そういわれてみれば・・・水圧が大きいから水の出がいい・・・・

水圧が下がっちゃって水がちょっとしか出ない・・・なんてよく言いますもんね。」

そうです。

この損失ヘッド hf は、

管の内面が静止していることによって粘性力が発生し

、それによる摩擦力で損失したエネルギーです。

でもそんなに回りくどくいわなくても通常の認識では、”管壁面との摩擦”ですね。

そこで、この損失ヘッドを管摩擦損失ヘッドと呼びます。
 

「ぃや〜・・・ココロが洗われました。じゃ、今日はコレでオワリってことで・・・」

それでは・・・明日に繋がる課題を。

「カダイ?宿題ですか???」
 

直管の流れを決めるパラメータは、

その管の長さL とか その内径、直径 d とか

その管の内壁面のざらざら度合い、つまり粗度なんてので、きまる気がしますね。

「なるほど・・・そんな気もします・・・。」

それから、流れのほうは、どんぐらいの水を流すのか。つまり流量Qや

Qに依存する平均流速Uが問題になりますね。

「それに・・・どれぐらいの圧力をかければいいのか、なんてのもありますょ。」
 

そう。

実際には、流量をコレだけ出したいけれど、どれぐらい管摩擦損失ヘッドがあるんだろう?

それで、どれぐらいの圧力を加えれば、いいんだろう??

という答えが欲しいわけです。



【そこで課題】

直管の定常流れで発生する管摩擦損失ヘッドは、

管の長さが長いとどうなるでしょう?

流速が速いとどうなるでしょう?

管が太いと?細いとどうなるんでしょう?

管壁面が粗いのと滑らかなのでは違うんでしょうか?

そして

流れの状態、つまり層流のときと乱流の時では?

違うんでしょうか?

さぁ!どうなんでしょう?


 第37話 

という話で、管摩擦係数λの登場とダルシー・ワイズバッハの式出現


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor
Maebashi IInstitute of Technoloy