[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第34回】(08.10.24)


【ベルヌーイの定理:第五話】

平均流速でのベルヌーイの式と補正係数α

ちょと、ややこしい話じゃが・・・・

「記号では、u と U ですね。」



トリチェリーの定理や静圧総圧の話では、流線上にある速度 u を用いました。

ベンチュリー管では、平均流速U を用いて、計算式を導出しました。

考える流速が、ある1点のものなのか、または断面での平均流速としているのか?

この区別は、常にはっきりとさせたいものです。
 

実用上、多くの場合には、流れを1次元的に扱うために、平均流速を用いることが多いはず。

本来は、流線上で成立するベルヌーイの式で、

u2/(2g) + p1/(ρg) + z =  H

と小文字のu を使うことになりますが、

断面での平均流速U で考える場合には、補正係数αをくっつけるのが

一応、厳密な表記です。

αU2/(2g) + p1/(ρg) + z =  H

「なに?この・・・補正係数αってのは?単位は無次元量ですね。」
 

補正係数αは、異なる流線の束を集めた断面で、ベルヌーイの定理を立てた際に、

各流線で異なる速度のばらつきによる差を補正するものです。
 

実際問題に適用していくと、例えば下図のような断面の河川にもベルヌイたくなりよね。

「おー・・・見事な自然河川と言う感じの断面ですね。こんな断面の川にもベルヌイれるんですか?」

いえ、ベルヌーイの定理を適用できるかどうか、ではなく、どうしたら、適用できるか、

ということを考えたわけです。

なにしろ、上図のような浅いところも深いところもある河川断面で、たった一つの平均流速U

エネルギー保存を考えるわけですから、ちょっと無理があります。

そこで、補正係数αを導入し、断面内での速度分布に応じて、この係数で補正するとしたわけです。

「なるほど・・・」

もうひとつ、流管が曲がっている場合、実際には、外側の流線には遠心力が加わるため、

一本の流管内でも、内側と外側の流線ではエネルギー量が異なるのです。

厳密的にはそうしたエネルギー差を考慮して、平均流速を使いたい・・・

というわけです。
 

「曲がりね・・・確かに、遠心力が作用するか・・・。

まぁ・・・・気持ちは解りますが・・で補正のαってどれぐらいの値なんですか?」
 

計算式があります。しかし、水理学の講義の中では、補正係数の説明はしても、

演習の計算ではα=1.0とし、実際には使いません。

乱流となる場合にはα=1.1 である、断面で流線が上に凸と下に凸ではαは異なる・・・、

などの解析が行なわれましたが、

総じて実際問題を解く際には、α=1.0 としてもそれほど問題は無い。

と言うのが・・・私が様々な水理の本を読んで得た見解です。

簡単な水理学の本では、補正係数αの説明も無いくらいですから。

「じゃ・・・なんで、こんな説明をしたの?」

まぁ・・・ウンチクですね。と、いうか、ベルヌーイの定理の説明を受けてから、

徐々に応用問題に入って・・・はっと気付くと、αなる係数がくっついて

びっくりする人が多いのではないかと思ったので書きました。



ベルヌーイの式を、特に一般河川に当てる際には、αを用いる重要性が高い、

と示した上で、

このEELNEWSでは、そんな計算はしないので、

今後は補正係数αは省略します。



【そこで一言】

平均流速を用いたベルヌーイの定理の補正係数α。

その必要性を、なんとなく理解しつつ、

α=1.0でいきましょう。


 第35話 

管路の流れとエネルギー損失


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor
Maebashi IInstitute of Technoloy