[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第32回】(08.10.22)


【ベルヌーイの定理:第四話】

〜静圧と動圧と総圧を制圧する〜

「また・・・シャレを入れましたね・・・」

うむ。これが入らんと話が進められん。さぁ今日もベルヌーイじゃ。

昨日は巨大タンクからの噴出で危ないところだったが、

で今日は、地味に流速を測ってみようぞ。

「ながれの・・・速さを測るんですか?計算するんじゃなくて。」

うむ。計算もちっとはするが・・・流れている状態で、流速を測るのじゃ。

「流れている状態でね・・・」



管路の流れがあるとしようぞ。図のように。

「なんか・・・理想的な一様な流れですね・・・ちょっとテキト〜な感じだ・・・」

まぁ管内の速度分布についてはご愛嬌じゃ。それよりも定常で等流、それが大前提。

この管路の流速を測ろう。

管に、L型に造ったガラス管を、ぶち挿す!下図の如きにじゃ。

ちょっと図がへたじゃが・・・・L字の管が水中で流れに口開けておる・・・・
 

「おー・・・・水が、上がってきた・・・・あるれるぅ〜・・・っと、大丈夫だった・・・で?なんです?これは。」
 

なんで、このように、ガラス管に水が上がって行くのか解るか?

「そんなの・・・当たり前です。・・・って、そりゃ・・・水の勢いで上がったんですよ。」
 

ほんじゃ、今度は、管の表面にガラス管を付ける。・・・ぽちっと・・・


 
 

「ぉや?水は・・・上がったけど・・・流れの中に置いたL字管よりも、水位は低いですね。 h分違う・・・」

そーじゃろ・・・・これも、ベルヌーイじゃ。エネルギーじゃよ・・・・

「はぁ・・・」

まず、L字のガラス管で、流れを食うように穴を向けた時の水位の上昇は、

その流れの総圧を受けた状態になっとる。

「全部の・・・圧力ですか。全部?」

で、管のふちに付けたガラス管では、断面が流れに平行な穴なので、流速の力を受けていない。

こちらの圧力を静圧という。

「なるほど・・・それで、その差、総圧 - 静圧 は、動圧  と言いたいんですね。」

言いたいんです。ぢゃ。

さ、記号をつけるぞ。ベルヌーイの定理の適用じゃ〜うわっははっはぁ・・・・・

「ナニが・・・おかしぃんだか、たのしいんだか・・・」
 

1 と 2 の流線にベルヌーイの定理を適用すれば、水平に置いたので位置水頭は同じで、

u12/(2g) + p1/(ρg) =  u22/(2g) + p2/(ρg)

となる。で、2の方では、管が口あけてるので流れが淀んでおる。

「淀み点ですか・・・流速ゼロになると考えるんですね。」

うむ。 u2 = 0 じゃ。 u1 はやめて ただの u でエエ。それで・・

u2/(2g) + p1/(ρg) =  p2/(ρg)

こんなふうになって、断面2のL字ガラス管が口あけて受けた圧力水頭は、

1の速度水頭と圧力水頭を足したものである・・・・・となるのじゃ。フォフォフォ・・・

「これが・・・動圧 + 静圧 = 総圧  を説明したものですね。

しかも、水頭という表現が、ぴったりの、ガラス管内の水位で解る・・・便利です。」

そうじゃ。図の2つの管の水位差は、

h  = u2/(2g) 

となっているじゃろう。

「あーホントだ〜。と・・・・いうことは・・・u = √(2gh) じゃないですか。」

つまり・・・2つの管の、それぞれの高さを測るんじゃなくて、その差だけ測ればいいんですね。

そーじゃ。あとは、電卓でちょいちょいじゃ。


で・・・・上述は、管路流れの場合だったが・・・開水路でも同じように適用できる。

「はぁ・・・一様な流れ場の開水路ですね。もちろん定常でしょう。」

L時管は管路と同様に流れにぶち当たるように口開けて置くが、静圧を測るほうは・・・いらん。

開水路の場合は定常流であれば、圧力は静水圧分布に従う。

流れが定常で一様であれば、圧力は静水圧と考えてよい。

こんな感じじゃ。


 

「なるほど。単純に動圧、速度水頭の分だけ水位が上昇するんですね。」

そうじゃ・・・・

「あっ!こっこれで!流速が測れますね〜その高さ h を測れば、

u = √(2gh) で、流速が計算できますよ。あれ?この式トリチェリと同じだな・・・。

そうじゃろ、そうじゃろ。この場合も同じく

h  = u2/(2g) 

となる。

では、具体的に・・・・L次管に上昇した水位と水面との差が10cmだった。さて!流速は?

「えっと、u=√( 2×9.8×10)・・・じゃなくて、u=√( 2×9.8×0.1)=1.4m/s です。」

じゃ・・・・h=1mだったら?

「 u = 4.427m/s・・・だけど・・・もっと大きくなったら、大変だね。管が高くなっちゃう。」

そうじゃ。それに、実際にはL字管を立てると水面も揺れてしまってhが計測し難い。

早い流速場でも適用でき、

同じ水深での静圧と総圧との差をいっぺんに測る

という優れものの装置が開発された。

それがピトー管じゃぁ〜

(この管を書くのはつらい・・・・基礎流体力学p38または基礎水理学p55をご覧下さい・・・)



【そこで一言】

流れのエネルギーは損失エネルギーがなければ不変です。

流速が落ちれば、そのエネルギーは圧力のエネルギーに変換され、圧力が高くなります。

逆に、流速が高くなればその場での圧力は下がります。
 

このように、流れの中で、圧力と流速の間でエネルギーの変換が行なわれます。
 

私たちは、その現象を利用して、流速の測定や、

高圧のエネルギー抽出や、

翼つけて飛行機を飛ばしてみたり、

ロケットを大気圏まで運ぶスカートの設計につかったりで、大忙し。


 第33話 

トリチェリ、ピトーとくれば、次はベンチュリー、につづく・・・

 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor
Maebashi IInstitute of Technoloy