[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第29回】(08.10.19)


【ベルヌーイの定理の第一話】

さぁ。昨日、質量mのボールの持つ運動エネルギーと位置エネルギーの話をしました。

「なんとなく解ったような・・・・だまされたような・・・」
 

mu2/2 + mgz =  const.
 

運動エネルギーと位置エネルギーを足したものは一定
 

mu2/2 :運動エネルギー 単位は N・m = J
 

mgz :位置エネルギー 単位は N・m = J
 

でしたね。このジュールは仕事の単位でもあるというウンチクも会得しました。
 

運動エネルギーは、英語で kinematic energy  です。キネマティっクって、

映画のキネマと似てるでしょ。動く、運動、が kinematic です。

「はぁ・・・・キネマね。キネマちっくって感じだ。」
 

で、位置エネルギーは、英語で potential energy です。ポテンシャルってよく言うでしょ。

「ぽてんシャル・・・ね。ポテンシャルが高い・・・とか言いますね。」
 

そこで、 運動エネルギーを Ek位置エネルギーを Ep と書きますね。



 
図のように、質量mの物体が、

なんとなく動いている時のエネルギーは、

位置エネルギー : Ep = mgz

運動エネルギー : Ek = mu2/2

ですね。


 


「あのー・・・速度の方向は、鉛直方向で無くてもいいんですか?」

いいんです。質量mの物体が速度uであるとき、方向に関係なく Ek= mu2/2 となります。

「いっ・・・いつのまに・・・」

そう納得して下さい。

で、この物体の重力場での重さ、重量Wは、

W = mg

です。このWで、Ep と Ek を割っちゃいましょう。すると

Ep / W = mgz / ( mg ) = z

Ek / W = mu2/2 /( mg ) = u2 / ( 2g )

ちょっと、シンプルになったでしょ。

「シンプルと言うか・・・・位置エネルギーは、位置というか、高さそのものじゃないですか。」

すーぅ・・・ばらしい。そのとおりです。

この、 Ep/W = z と Ek/W = u2 / ( 2g ) は、その物体の単位重量当たりのエネルギーを表している・・と

林泰造先生の本(p48)には書いてありますが、

認識としては、エネルギーを高さで表したと理解したほうが簡単です。
 

「つまり、位置エネルギーは z という高さそのもので・・・それに揃えると、

運動エネルギー  u2 / ( 2g ) は、 単位が (m2 /s2) / (m/s2 ) = m

ぁ、高さの単位だ・・・になる、ということですね。」

そうです。これが水理学で水の流れの持つエネルギーを表す単位なのです。
 

「えー・・・・なんで?いいの?エネルギーの単位を勝手に変えても・・・・」

エネルギーは認識です。私達がそれを認識できれば。

体重100kgの人って、エネルギーあるように見えるでしょ。」

「ぇ?・・・・まぁ100kgもあれば・・・エネルギー満タンて感じだ。」

水深10mの水の柱と水深2mの水の柱を見たら、どっちがエネルギーあるように見える?

「10m・・・・だけど・・・。まぁ・・・解りました。エネルギーを高さという単位で表すということですね。」



で、流体、空気や水というのは、ボールのような塊の質点では流れを考えられません。

流れの中に、まとまった質量を見出せないのです。

そこで水理学では

位置エネルギー Ep = ρ g z   密度×重力加速度×高さ  [単位]  kg/m3 ×m/s2 ×m = N・m /m3 = J/m3

速度エネルギー Ek = ρu2/2 密度×速度の2乗÷2 [単位]  kg/m3 ×m/s2 = N・m /m3 = J/m3

と定義しなおします。

「はー・・・・単位体積当たりのエネルギーって量にしちゃうんですね。」

そして!この J/m3は、実は、圧力の単位と同じなのです。

「ナニ!??ど・・・どれどれ・・・・って、そうか ρgz って、p=ρgh と同じじゃん。

kg/m3 ×m/s2 × m = kg・m/s2 /m2  = N / m2  = Pa

ひえー・・・・単位体積当たりのエネルギーJ/m3 て圧力の単位と同じになる・・・変だ。」

で、EpとEkを単位重量ρgで割ってみると・・・・

Ep  / W = ρgz / ( ρg )  =  z

Ek / W  =  ρu2/2  / ( ρg ) = u2 / ( 2g )

となって、質点のエネルギーの時と同様に、流体の単位重量当たりのエネルギーを示すことになるのです。

しかも、流体を水で考える水理学では、水柱のイメージをもてます。

そこで、

z :高さで表した位置エネルギー → 位置水頭(位置ヘッド) potential head

u2 / ( 2g ) : 高さで表した速度エネルギー → 速度水頭(速度ヘッド) velocity head

として、エネルギーを考えるのです。めでたし、めでたし・・・


例えばですね・・・・ 100mの深さを貯水したダムの、水面の水の持つエネルギーを、

単位体積当たりのエネルギー (単位はJ/m3) で示せば、

ρgz = 1000kg/m3 × 9.8m/s2 × 100m  = 980 kJ/m3

となりますが・・・イメージ沸かないでしょう?

「湧きません。ぜんぜん。」

でも、単位重量当たりのエネルギー (単位はm) で示せば、

z = 100m (水頭)

となって、非常にエネルギーを理解しやすい。

「水頭で・・・100m・・・という意識が持てればですね・・・。」

そうです。

逆に、980kJ/m3 のエネルギーです、と言われて、

何メートルの水位の持つダムだと・・・想像できないでしょう?

「できませんな。」

ね。水頭でのエネルギーって、便利。便利だ〜。

「ふーん・・・じゃ・・・例えば、10m/s の速度で流れる水の、速度のエネルギーは、

その・・・・単位重量当たりのエネルギーていうので表せば、

u2 / ( 2g ) = (10m/s)2 / ( 2×9.8m/s2) = 5.102 m (水頭)

てことになるの? 10m/sの流速の速度ヘッドは、5.102mです・・・」

すーぅぅぅ・・・・ばらしぃぃぃ!!!

そのとおりです。



【そこで一言】

の流れのエネルギー

その1 :  速度水頭(速度ヘッド) u2 / ( 2g )

その2 : 位置水頭(位置ヘッド) z

どちらも単位は高さです。

もうひとつ・・・・

圧力の持つエネルギーを加えたい・・・・


 第30話 

圧力の仕事も加えないと・・・・

 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy