[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第28回】(08.10.18)


【エネルギー 】

エネルギーの単位と言えば・・・・ジュール J

「なんか・・・壮大な話ですね。ジュールですか・・・」

そう、ジュール。ではその正体は?

力×距離  です。距離は力の方向に対して、です。

力のモーメントも同じく単位は、力×距離ですので、御注意下さい。

力の方向に対しての距離をかける、これがジュール。

ジュール J の単位を見てみましょう。

[J]  = [N・m] = [kg・m/s2 ・m]

「なるほど・・・質量×加速度×距離というものが、エネルギーと呼ばれる量なんですね。」

そうです。しかも、別名で、仕事とも呼ばれます。

「しごと?」

そう・・・・例えば、20kgの米を持って1km先に配達すると、仕事した気分になるでしょう。

「はぁ・・・・まぁなりますかね。いくらくれる?」

で、・・・・例えば、20kgの米を持って1km先に配達すると、エネルギー使うでしょう。

「そりゃ、使うでしょうね。腹も減るかも。」

そんで、・・・・例えば、20kgの米を持って1km先に配達すると、汗もかきますよね。

「ひたいに背中に汗だらけです・・・ってナニそれ?」

このジュール、質量×加速度×距離 は、熱量の単位でもあるのです。

「ぉい!そんな説明でいいのか?」

まぁ・・・ニュアンスですよ。ニュアンス。これで、エネルギーの単位がジュール J=N・mと理解してくれれば。

そして、それは仕事や熱量と呼ばれるものであることを、ちょっと言いたい。
 

ところで、 圧力の単位は Pa =N/m2 でしたね。

「はぁ・・・。なんか関係有るの?」

ジュールJとPaを無理やり結びつけて見ましょう。N=Pa・m2 なので、

J = N・m = Pa・m3

なんてのに、なりますね。

「なんか・・・仕事 = 圧力×体積・・・って感じだけど、意味有るの?」

おー・・・なかなかいい感じです。そのうち、この意味が解るかも。


さぁ静水圧が終わりました。いよいよ、最後のテーマ!流れている水の力学です。

ここでは、2つの保存則が登場します。

一つは、量が保存される、ということ。

もう一つは、エネルギーが保存される、ということです。

「量の保存とエネルギーの保存ですか・・・・難しそうですね。」

そーですねー・・・・なんかこう、そういうもんだろうなぁ・・・という理解力が欲しいところです。



今日は、エネルギーのおさらいです。

「おさらいって・・・ボク知らないけど?」

物理学の基本なので、大部分の大学教員は、そんなの常識、学生は絶対知ってるもんだとかんぐって

ハナシを進めます。

「み、みんな・・・知ってるもんなの??そゆの。」

いや、私の経験上では・・・・90%の人は知ってません。

話初体験って感じです。忘れてるって感じでもなぃ。

でも、これをくどくどやって水理学を進めると、10年ぐらいかかっちゃいますので、

私も はしょる しか無いわけです。現実では。

「ハー・・・そんなもんですか。」


まずは・・・・位置エネルギーと運動エネルギーの関係からです。
 

ボール上に向かって投げると・・・・ボールの位置が高くなるに従って速度がゆっくりになって・・・・

で、最高の高さに達した時、などを見つめながら、我々はしみじみと、思うもんです。
 

”ぁあ・・・・ボールの持っていた運動エネルギーが、位置エネルギーに変わって・・・・

一番高く上がった時、全ての運動エネルギーが位置エネルギーに変換し、

そして、そのあとは、位置エネルギーが再び運動エネルギーに変わって・・・・

加速しながら落ちてくるんだなぁ・・・・・いてっ顔に当たったぞ。”
 

「そ、そんなの考えてボール投げてる人、いませんよ。」
 

でも、この位置エネルギーと運動エネルギーのエネルギーが移行するハナシはみんな知ってますよね。

「まぁ・・・気持ちは解ります。」

じゃ、式に書いて下さい。

「げっ。それは・・・無理です。」

じゃ、書きます。


で、等加速度運動の話です。

ボールを投げ上げる運動は、重力加速度g が一定な加速度として作用するので、イメージしやすいでしょう。

損失エネルギーは当然無視ですから、このさい、大気はゼロとしましょう。

「く、くるしい・・・・」

鉛直方向にz軸とります。さぁ、質量mのボールを上空に真っ直ぐ放り投げますよぅ。とりゃー!!ひゅーん・・・・・

「あーボールが上がってく〜減速しながら・・・段々遅くなってるけどまだ上がってるな・・・・・」

では・・・

あるときのボール位置が z0で、その時の速度が u0とします。

で、時間 t 後の 速度 u は?  u = u0- gt です。

こっから、 t  = ( u0- u ) / g  という関係が得られます。
 

等加速度運動なので速度が一定に変化しています。そうなると、

進んだ距離  z - z0 は、

t時間の間の 平均速度 × t となります。
 

平均速度 = ( u0 + u ) /2 ですね。それを使って進んだ距離は、

z - z0 = ( u0 + u ) t / 2 となります。
 

で、 t に、t  = ( u0 - u ) / g を代入すると、

z - z0 =  -( u2 -u02 )/ (2g) となって、

u2 - u02 = -2g ( z - z0 )

という式が得られます。

「もー・・・・なんだかわからないけど、ちゃんと考えればきっとそうなるんでしょうね。」

この式を書き直すと、

u2 + 2gz = u02 + 2gz0

となるので・・・・・両辺に、ボールの質量をmとして、m/2 をかけます。

すると・・・・

mu2/2 + mgz = mu02/2  + mgz0 = 一定

ほら! 運動エネルギーと位置エネルギーを足したものが一定です、というエネルギー保存式

得られるというわけです。

「ひぇ・・・・いつの間に・・・なんか騙されたかのようだ・・・」
 

この式から、物理学では、

mu2/2 を運動エネルギー呼びます。:単位は kg m2/s2 = kg m/s2 ・ m = N・m = J

「1/2は絶対にいるんだね。」

いります。平均速度を用いたときに1/2が参入しています。そして

mgz を位置エネルギー呼ぶのです。単位は kg・m/s2・m = N・m = J

「なんか・・・当然のごとく、単位が合っていて、しかもジュールだ。」



 

【そこで一言】

質量 m の運動のエネルギー保存式

運動エネルギー + 位置エネルギー = 一定

mu2/2 + mgz = const.

こっから、水の流れのエネルギー保存を考えるのは・・・


 第29話 

次回の話


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy