「またまた、また、 p = ρg h ですか!」
そうです。今日のはさらに面倒な話です。
長方形断面で直壁に作用する水圧の全水圧
長方形断面で斜壁に作用する水圧の全水圧
台形断面で直壁に作用する水圧の全水圧
なんて計算をしてきました。
これらの水深は水面から底まで壁に作用していましたが、
今日は、水中に潜っている面に作用する場合です。
では、問題です。水をせき止めている堰の下に、直径1mの管が付けられていて、
その管にはフタがついています。そのフタに作用する水圧の合力を求めるという、
なにやら、水理学演習の試験問題のようなテーマです。
「ぅへっ・・・こんな問題を出すの?ちょっと難しくない?これ。」
多分、問題を出す時は、内径が100cmの管、と表現するかも。
で、それを1mにしないでそのまま計算して、10000倍ぐらい違う答えを出す。・・・・コワイ・・・。
「ま、まさか!それほどウカツな人、いないですよね・・・。ェ。いるの?・・・エ!一杯いるのぉ?」
さ、そんなわけで、計算する水圧を受ける面が、今日のは水中に潜ってますね。
さらに、円です。
ちなみにこの円面に作用する水圧分布はどうなるでしょう。
「えっと・・・・円の上端の水深は・・2mですね。円の下端の水深は3mです。
p=ρgh だから、 円の上端部での水圧は p=1000×9.8×2=19.6kPa、下端部は
p=29.4kPaで、
円の上から下に直線的に大きくなります・・・。でも四角じゃない円だからなぁ・・・複雑だ。」
そうです。丸い断面に深さの違いで段々大きくなる水圧が作用しているわけです。
ちょっと、合力の計算は一筋縄ではいきませんね。
こうした問題には、図心と断面2次モーメントを用いる計算が適しているのです。
それでは、やって見て下さい。
「ェ。ボクがやるんですか・・・・よしっ。
まずは、・・・水圧を受ける面積・・・直径1mの円か。断面積 A = πd2/4 =0.785m2
で? 図心?円の図心は、 直径の1/2 のところだけど・・・・hG ?
あぁ、この hG って、水面から図心までの深さか。じゃ、 hG = 2.5m
そうすると・・・全水圧Pは・・・・
P=ρg A hG = 1000×9.8×0.785×2.5 =19236N = 19.2kN ( = 1.963kgf )
全水圧は、19.2kN です。工学単位系では 19.6tonf です。」
ふむ。それは合っていると思うか?
「ェ?・・・そんなこと、解りませんよ。」
ほんじゃ、例えば水深2mの深さにある1m×1mの長方形断面の水圧をイメージするとな、
水圧の平均値は、(19.6+29.4)/2=24.5kPa 、これが1m2に作用するので全圧は P=24.5kN じゃ。
さらにな、この円と面積がほぼ同じ正方形(0.88m角)の蓋を変わりにおくと、その全圧は、大体19.2kNじゃ。
「はー・・・それを聞くと・・・合ってる気がします。」
よしゃ。では、次に作用位置をやってくだされ。
「ぅーし・・・・・・作用位置 hC か・・・
まずは、断面2次モーメントだな・・・
円の場合には、I0 = πr4/4か・・・ぅへ〜また4乗・・・すごいね。
I0 = 3.14 × 0.5m 4 / 4 = 0.0491m4
なんか・・・小さいなコレ・・・あってんのかしら?
で?hC= hG + I0/( A hG)
これか!なんだか解らんが、とにかく代入。
hC= hG + I0/( A hG) = 2.5m+ 0.0491m4/(0.785m2×2.5m) = 2.525m
でたっ!作用位置は水面から2.525mだ・・・・あれ?なんか・・・ほとんど中心位置だなぁ。」
出たのぅ。確かに、計算した全水圧の作用位置は、面の中心よりたったの2.5cm下じゃな。
「もっと下の方かと思いました。水圧は水深が深くなれば大きいんだから・・・。」
ふむ。
それでは、もし、円ではなく1m×1mの四角形の蓋だったら・・・
hC= hG + I0/( A hG) = 2.5m+ 1/12m4/(1m2×2.5m) = 2.533m
となる・・・・。値も近いぞ。そんなわけで、合っておるじゃろう。
「なんで?いままでは、全圧の作用位置は、1mなら0.666mとかで、水深の2/3のところなのに。」
今回の水圧を考えた面は、水中じゃ。
2mも潜っている面に作用する静水圧分布は、面の上も下もそれほど変わらん。
なんなら、試しに、1000mの水深でやるとな・・・
hC= hG + I0/( A hG) = 1000.5m+ 1/12m4/(1m2×1000.5m) = 1000.500083m
となって、ほぼ、面の中心に全圧が作用する。
「そっか・・・じゃぁ合ってるかも!やったぁ。出来ました。計算できましたよ。ぅしし。」
計算した答えが妥当かどうかを、別な方法で検証できる能力。
これもエンジニアの重要な要素です。
式に数を入れて電卓を叩いて計算し、答えが出たときがスタート。
そこでおしまいにしないで、
「おっと、これは合ってるの?」
と自分で疑い、
自分で確かめる方法を探す。
それで理解も倍増です。
こりゃ難しい、理屈はわかるが曲面だ。
曲面に作用する水圧の全圧を計算する局面
につづく。
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Associate Professor Maebashi IInstitute of Technoloy |