[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第20回】(08.10.07)


【 静 水 圧 】

水圧の計算をしましょう!

水理学三大計算といえば、ベルヌーイ、開水路、そして静水圧。

「 p = ρg h ですね。」

そうです。

そして、合力です。水圧の合力、全水圧、

もっと省略すれば全圧と呼ばれるものの計算です。

「圧力の・・・・合力?なんですか?それ。」
 

面に分布する水圧を全部足すとどんな力になるのか?

そして、その合力は何処に作用するのか?

です。



圧力の基本性質の2番

面に対して作用する圧力は、必ず面に垂直に作用します。

「はぁ・・・面に斜めになんて絶対に圧力は作用しない、ですね。」

圧力の基本性質の3番

重力場における液体の圧力は水深に比例します。

「だから、 p = ρ g h でしょ。それ。」

そうです。

「これp=ρghって、気体は? 空気はダメなの?」

空気、気体は圧力で体積が変化しやすくて密度がコロコロ変わるのでダメです。

水面みたいに境界がはっきりしてないし。

「ぁ、そか・・・。」
 

では、問題。


幅1mの水路で、堰が水深1mの水をしっかり止めてます。

その堰は、頑丈で、垂直に立っています。水漏れありません。

その堰壁に作用する水圧の分布はどうなりますか?

そして、その堰壁に作用する水圧の合力、全水圧はいくらですか?

「やって見て。」

え?私がやるんですか・・・とほほ・・・

水圧の計算なので、水面の圧力はゼロとするゲージ圧でハナシを進めますね。

「ホントは、水面は1気圧、101.3 kPaなんですよね。」

そうです。でも、水圧を考える時に絶対圧ではややこしいので、水面圧をゼロとします。

これをゲージ圧といいます。

頼りにするのは、とにかく、 P= ρ g h

水の密度 ρ =1000kg/m3 とします。

重力加速度は 9.8m/s2 とします。

水深 0m、つまり水面での水圧は

p(h=0) =1000kg/m3×9.8m/s2×0.0 m = 0.0 N/m2 =0.0 Pa

「なんか計算くどいですね。ゼロかけてるんだからゼロですよ。」

認識として、水面の圧力がゼロなのは水深がゼロだからを強く訴えたい。

「わかりました。」

水深h=0.1m では、 p=1000×9.8×0.1=0.98 kPa

水深h=0.2m では、 p=1000×9.8×0.2=0.98×2 kPa



水深h=1.0m では、 p=1000×9.8×1.0=0.98×10 kPa = 9.8 kPa

「つまり、比例して段々大きくなる。水圧と水深は直線的に変化するですね。」

そうです。

そうすると、そういう分布をしている、ということになります。

堰壁を横からみれば・・・・知る人ぞ知る、三角形分布に作用する圧力です。

「梁の問題の、等変分布荷重とそっくりですね。」

そうですね。

上の図で、垂直な壁に水圧が水平に作用しているのを見るとですね、

「はぁ?」

スーパーとんちんかんな人は、
良く水圧は水平に作用すると思ってしまうのです。

「ぇ〜・・・そんな人いませんよ。」

います。確率的に、20人に一人ぐらいいます。御注意下さい。

圧力は面に垂直に作用するのです。

上図では、壁が鉛直に立っているので、水圧の作用方向がその壁に垂直。

結果として水平なだけです。
 

さぁ!この面に対して作用している分布荷重、つまり圧力の合力は?

「えっと・・・簡単な計算方法では・・・平均の大きさを求めて、面積をかける。

難しいのは?

圧力分布を式で表し水面から水底までを積分し、さらに幅方向に積分する。」

よく知ってますね〜。簡単なので行きましょう。
 

この圧力分布の平均値は、三角形なので簡単ですね。

9.8KPa × 1/2 = 4.9Kpa =4.9KN/m2

この値に、壁の面積をかけます。A=幅1m×水深1m = 1m2 です。

全水圧 P = 4.9 kN/m2×1m2= 4.9 kN

4900 N ÷9.8m/s2 = 500kgf
 

「へー合力は4.9 kNで、工学単位系では500kgf の力だ。

1m幅で高さ1mの水壁を支えるのには、500kgfの力がいるんだ。」
 

そう、水圧の合力、全水圧はP = 4.9 kN です。

「圧力は小文字のpで、単位はPa 。全水圧は大文字のPで単位はNなんですね。」

あ、記号と単位は重要です。

ここでは全水圧を大文字Pとしています。
 

圧力、水圧の単位はPa=N/m2 だけど、合力、全水圧の単位は力Nとなります。

「解りました。今日はこれで終わりですね。」
 

いえ!重要な、この合力、全水圧の作用位置をまだ計算してません。

「は?合力の作用位置?」

そうです。力は、大きさ、方向、作用点の3種を全部唱えて説明完了

「どんな大きさで、どんな方向で、どこに、作用する力なのか!」

そういうことです。

で?それは・・・どこになるんですか?

「三角形分布の合力位置は底面から1/3、水面から2/3の位置です。」

「なんで?」

そ、それを・・・ここで・・・説明するんですか?

等変分布荷重の合力の計算と同じです。力のつりあい条件を用いて、
任意の点でモーメントの総和を計算します。
ある点における分布荷重の及ぼすモーメントの総和=合力のもたらすモーメントの総和
という式から、合力の作用位置を計算できます・・・・。

「も、いいです。解りました。」

【まとめ】

幅1mの堰に高さ1mの水深の水壁が作用する水圧は、

水面がゼロPa、水底位置の壁に作用する圧力は9.8 kPa。

水圧は壁に垂直に作用し、水深に比例して大きくなり、三角形分布をなします。

その合力は、4.9 kN 、500 kgf の力で、作用位置は、幅の中心で水深 0.667 m の場所。

「へいへぃ。解りましたっ。終わりにしましょ。」



【そこで一言】

水圧の計算

ほんとはちゃんとした計算式があるけれど、

意味は分布荷重の合力計算。

忘れてならないことは、

水圧は、圧力。

必ず面に垂直に作用します。


 第21話 

水圧の計算は、段々難しくなります。

次回 断面2次モーメントなる量

につづく。


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy