[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第19回】(08.10.07)

【秘伝!跳水はこのようにして起る】

「え?突然、秘伝ですか?水理学で・・・秘伝とは度胸がありますね。」

はぃ。この説明は私の超!オリジナルなので、秘伝扱いです。

図で説明しますね・・・。

緩勾配水路には水が無く、上流から流量がやってくるイメージでスタート。

急勾配水路から、水が射流状態のまま・・・・流れてきます。

「はぁ、乾いた水路に水流すイメージですね。」

で・・・・緩勾配に流れても、すぐには跳水なんて生じません。

「うーん・・・薄い水の膜が張るようですね。勢いが継続している・・・」

そうですね。緩い勾配でも慣性力が大きな水流は、まだ勢いがあります。

「勢いっていっていいんですか?」

まぁ・・・現象の理解を行なう場なので。

この緩い勾配水路を、まだ薄く浅く流れている水流は当然射流です。

「ほんとだ、指突っ込むと跳ねます。」
 

しかし、流れながら、徐々に流速は落ちていきます。

「まぁ・・・そうですよね。勢いがあるとはいえ、もう斜面は平らに近いんだから・・・」

そう、底面の摩擦力の影響を受けて、流速は徐々に遅くなっていきます。

そうすれば、段々、下流になればなるほど水深は深く、水位は高くなっていく。

「へー・・・・ホントにこんな風になるの?」

これほど極端にはなれませんが、一瞬なったと思って下さい。

そして、この状態はフシギな水面形となっていることにお気づき下さい。

「へ?射流だけど、下流に向かって・・・段々・・・水位が高くなってますね・・・・

おぅ!変だ。変ですよ。

水は高いところから低いところに流れるはずなのに、

この水面形状だと、下流になるほど水面が上昇しています。ヘンです。」

そう。

水位の違いは、かならず、波の発生を呼びます。

それは射流の流れであっても、本来は発生しているわけです。

緩勾配上を射流状態で流れる水は、徐々にエネルギーを失って

流速を落とします。そうすると水深が深くなり、水位は下流になればなるほど高くなる。

そして・・・流速が落ちてその時の水深の波速よりも小さくなると!

「波ができる。上流にも伝わろうとしますね。」

そうです。しかし、上流側は、射流流れ、その波を吹っ飛ばそうとします。

「ぅぇー!砕波、サイハ、波が砕けますね。

・・・・これが・・・跳水なんだ・・・」

そうです。

跳水は、砕波。

一旦、砕波が出来てしまえば、その場でのエネルギー損失は非常に大きく、

もともと常流流れの緩い勾配を流れる水は、すっかり常流Fr<1に定着します。

そして、砕波(跳水)は 上流に向かっていきます。

そして、最終的に、落ち着くところで、落ち着いて、跳水となるのです。


 

これが、跳水現象発生のメカニズムです。

「そんなの、どの水理学の本にも書いてませんよ」

書いて無いんだなぁ・・・コレが。

数値計算で、非定常の解析を行なうと、この現象が現れます。



【そこでまとめ】

開水路における波速の重要性を

ご認識いただけましたでしょうか。

常流も射流もフルード数も

跳水現象も

慣性力も粘性力も面摩擦力も

このように深く、波速に関わっています。


 第20話 

話題は水圧に逆戻り

静水圧の計算手法シリーズ

につづく。


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy