[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第17回】(08.10.05)


【開水路の流れ】

大気と接触する水面、自由表面をもつ流れを開水路といいます。

大河も小川も側溝も、水が流れれば開水路流れ。

その流れの状態は、水深から計算される波速と比較して

Fr=U/√(gh)

フルード数で評価されます。

Frが1よりも大きい流れは、波の伝わる速さよりも流れが速い。→射流

Frが1よりも小さい流れは、波の伝わる速さよりも流れが遅い。→常流

そして、波速と流速がピタッと同じになったとき、

Fr=1の流れを 限界流 といいます。

「へぇ、昨日計算して、なんとなく身にしみました。」
 

そこで、それぞれの状態を簡単に表すために、記号に添字をつけましょう。

常流流れには m 緩い mild の m です。

射流流れには s 急だ steep の s です。

限界流には c クリティカルだ critical の c をそれぞれ添え字でつけましょう。

「そえじ? そ えーじ ですね。ああ、記号の右下につける小さな字ですね。」
 

常流流れの場合 平均流速はUm 、水深は hm 、勾配は Im

射流流れの場合 平均流速はUs 、水深は hs 、勾配は Is

限界流では場合  平均流速はUc 、水深は hc 、勾配は Ic
 

「なるほど。この記号を使えば、その状態を汲み取れますね。」


さぁ、そこで・・・・水路幅や勾配が変化した場合の、

開水路流れの水面形状を考察する時がやってまいりました!じゃじゃーん。
 

「なんで?じゃじゃーん?・・・それより、そうなると等流じゃないですね。」
 

はい。平均流速公式の大前提の等流ではなくなります。
 

そこで、ある区間は等流と仮定するかな このさい、という

柔らかーい理解でお願いします。

「ぁぃ」
 

【その1、緩やかな勾配から急な勾配に変化するときぃ】


こんな場合ですね。水路幅は∞大で考えましょう。

あるいは水路幅一定でもいいです。

この水路の、勾配の変化付近の水面形はどうなると思いますか? わざと つないで いません。
 

「ぅ・・・・ん・・・上流は勾配が緩く、常流F<1なんですね。水深 hm は深い。流速 Um は遅い・・・・。

下流は勾配が急で、射流F>1なんですね。水深 hs は浅い。流速 Um は速い・・・・。
 

勾配が急になれば、すぐに流速は速くなるんだろうけど・・・

勾配が変化した直後に、その勾配の流速までは速くなれないようなぁ・・・

つまり、加速する区間がいる・・・・

で、段々速くなる。

こうかな?

なんか・・・・、変だな・・・・」
 
 
 

はぃそれでは、おそらく納得される水面形をご紹介。 

こうなります。

「お〜・・・・なんか、ホントっぽいね・・・・。滑らかだ。

そーか・・・勾配変化点のちょっと上流のところも、もう水深は浅くなっていくんだね。」
 

勾配変化点からは勾配が急になるので、流速が大きくなり、水深も浅くなります。

すると、上流側の水位差も大きくなるので、勾配変化点よりすこし上流でも流れは速くなり水深もちょっと小さくなります。

一方、勾配変化点より下流では、流れは加速して行きますが、

河床の摩擦力が、その加速する力、つまり慣性力と等しくなると、等流状態になります。
 

そして、

勾配変化点の位置では、必ず 限界流 Fr=1 となります。

この位置は、支配断面と呼ばれます。
 

「へー・・・・なんで?なんでなんで?何を支配するんだろう?コワイ・・・

簡単に言うと、流れようとするエネルギーが一番効率的な場所だからです。

「はぁ?全然、簡単に言ってませんょ。」

その・・・話は・・・長いので・・・今んところは・・・・なるからなるってことで・・・

ご納得いただけませんかね?(もみもみ)

「ぇ?ハナシ長いの?納得しました。

急から緩の勾配変化位置で、流れは限界流 Fr=1 となる。」

はー・・・助かった・・・。それ書いたら寝れん・・・。
 

「うん・・・でも雰囲気は解った。

緩勾配から急勾配へ変化する開水路流れの水面形は、連続的に変化する。

ですね。」

スゴィ!!「その連続的に」表現に1000点あげましょう。

「むふふ・・・・ボク天才!」
 

この緩勾配から急勾配に変化する流れでは、下流の急勾配区間、つまり射流流れにおいて、

水面が変化したり、魚が跳ねたり、人が飛び込んだりしても、

上流の緩勾配流れのほうには、全く影響しません。

波が上流に伝わらないからです。

「まぁそうでしょうね。」



【そこでまとめ】

開水路の流れの 常流から射流

Fr<1の常流流れから越流し、その下流でFr>1の射流となる場合には、

その勾配変化点で、必ずFr=1となります。←【支配断面】

交流から射流へ移行する場合には、水面形状は滑らかに連続的に変化します。

水深は連続的に浅くなり

流速も連続的に速くなります。


 第18話 

ぁぁ・・・やっと、やっと、こんどこそ、 跳ねる水解説

につづく。


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy