[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第12回】(08.09.30)

さぁこんどこそ開水路の流れです。

今日こそ、ホントに、計算しましょうね!」

うむ、うむ・・・



【マニングの平均流速公式】

河川や水路の平均流速を計算しましょう。

さて・・・では・・・なんか、具体的な水路を想定しようぞ・・・。

計算のために、揃えるものはのぅ・・・
 

「わーぃ。じゃ、利根川〜 と ね ガ ワ 〜 」
 

・・・それでは具体性が あまりにも欠ける・・・・もっとシンプルに。具体的に。

「えー・・・んじゃ、ソコのドブ川でいいや・・・あれ?水流れてないなぁ・・・・水深が無い。」
 

おう!すばらしい。一つ出た。水深ですな。そういう具体的なものじゃ。

ほかには?

「あとは・・・・この水路の大きさです。あとか・・・」

ほかには?

「ない」

ほんじゃ、お前さんは、水深と水路の大きさと形で、水が流れると言いたいのか?

「・・・・え?・・・あ、流量?」

うむ。流量も大事じゃなぁ。ほかには?
 

「わかった!!水は高いところから低いところに流れるから、・・・それ。高低差です。」

ピンポーン、じゃ。つまり勾配じゃな。
 

「はー終わった。これで平均流速とやらが計算できますね。」
 

もう一つありますのじゃ。

例えばな、作りたてのコンクリートのつるつる水路と、

10年も経って、泥やら藻やらがぬるっと付着した古臭い水路と、

同じ条件ではどっちが流れが速いと思う?

新品の水路です。当たり前。」

なんで?

抵抗が少ないから。」

なんの?

「は?抵抗は、抵抗!。それ以外にぃ・・・・って、あぁ。それって、摩擦か・・・」

そうじゃ。そのとおり。水の粘性がもたらす壁面との摩擦力、その度合いを入れねばならん。



揃ったところでご紹介です。

パンパカパーン

【マニングの平均流速公式】

U = n-1  ×  R2/ 3  × I1/2

R = A / S

U:平均流速 m/s

n:マニングの粗度係数  m-1/3 s

I:水面勾配 (無次元)

R:径深 m

A:断面積 m2

S:潤辺 m

「・・・くら くら〜・・・くらくらします。なんです、この式は?R2/3 ? I 1/2 ?・・・いい加減にして。」

ぃ、ぃや、ちょと待て・・・だんだんに、説明するワィ。図もつけるぞよ。
 

四角形、長方形の断面水路では、幅を B 、水深  h とすれば、

断面積(流積) A = B×h = Bh

潤辺 S = h + B + h = B + 2h

径深 R = Bh / ( B + 2h )
 

「流れの断面積は・・・解ります。水深×水路幅だ・・・・」

「潤辺 ってのは?ぁぁ・・・断面の中での濡れている辺の長さか・・・。 幅+水深の2倍だ。じゅんぺん か・・・

「で?径深ってのが、断面積を 潤辺 で割る?・・・一応長さの単位だね。深?深さなのコレ?」
 

そうです。そうです。すばらしぃOkOkOkです。
 

勾配 I は、定常で等流の場合には、水面の勾配もと水路床の勾配も同じになりますから、

長方形断面では、水路床勾配でも河床勾配でも、どっちと言ってもかまいません。

でも、一応、勾配 I は、水面勾配のことです。
 

「肝心の・・・この n 、マニングの粗度係数ってのは、何ものですか? 変な単位ですねコレ。m-1/3 s

これが、その水路の摩擦抵抗を決めるものです。
 

この式は、理論と実験の双方から導出された過程があるので、nが妙に変な単位になってますが・・・

この単位は、まったく気にしなくていいです。
 

粗度係数はどやって、決めるの?それが解らなければ・・・・計算できません。」

さまざまに実験して、数値が得られています。
 

つるつるのガラス面 n = 0.008 m-1/3 s

コンクリート作りたて水路面 n=0.015m-1/3 s

自然水路 n = 0.025 〜 0.04m-1/3 s

石ごろごろ草ボーボーの自然河川 n = 0.04〜0.06m-1/3 s
 

「うーん・・・なんか、アバウトですね。」
 

粗度係数 n の選択は、本来は再現実験などをやって妥当な数を決定するのですが、

まぁ、今回は、それなりに選択しましょう。
 

n=0.02 m-1/3 s としますかね。

「そうすると・・・ちょっとだけ汚れたコンクリート水路って感じですね。」

見事な理解です。

水深は、いくつにしますか?

「10m」

馬鹿もーん!そんなめちゃくちゃ深い水路なんて滅多にない。もっと浅く。

「じゃ・・・ 20cm。 h = 0.2mで。」
 

水路は長方形断面、別名、矩形断面としましょう。

「くけい、ですか。あと水路幅ですね。幅 B は 1m でいいや。」
 

あとは・・・・勾配です。水面勾配・・・この場合、水路の勾配と同じですが。

どれぐらいの勾配がいいですか?
 

「じゃ、30度の傾斜ってことで。」

30度!・・・・そ、それはダメ。 急すぎです。 スキーしますか?

「え?スキーですか。中級ぐらいですかね。」
 

30度の斜面で直滑降できる?

「そ、・・・それは・・・・コワイなぁ・・・・多分止まれない。骨折っちゃいます。」
 

そうでしょう。川や水路の勾配は角度では表しません。1/100とか、1/1000という数を使います。
 

100mで1mの高低差が1/100。 I = 0.01 となります。

「解りました。・・・・じゃ、その I = 1/100 で。

でも、そんな、100mで1mしか低くならない水路なんて、水が流れるのかなぁ?」
 

ほんじゃ、計算してみましょう。

n=0.02 m-1/3 s、 h=0.2m 、B=1m、I = 0.01 の矩形断面水路の平均流速 U は?ですね。」
 

まず径深R の計算を。

潤辺  S = B+2h = 1.0m + 0.2m × 2 = 1.4m

流積 A = B×h = 1.0m× 0.2m = 0.2m2

径深 R = A/S = 0.2m / 1.4m2 = 0.143m

と、出ました。
 

「・・・この計算どういう意味があるの?何?径深てのは?これも謎の数ですね。」
 

あとでね。次に、平均流速 Uの計算です。関数電卓の出番です。

2/3乗というべき乗の計算が必要ですね。^マークか yx とうボタンを使いましょう。


 

「あ・・・これか・・・よし・・・・なんとか・・・でました。慣れないと面倒・・・
 

U = 0.02-1 × 0.1432/3  × 0.011/2 = 1.367 m/s
 

「へ〜 平均流速が1.37m/s か・・・思ったよりも速い。そんなに速く流れるの?」
 

そぅです。1/100というのは、結構急な勾配なんですよ。
 

一般の下水の水路は1/1000ぐらいで流れているのです。

「1/1000 ? 1kmで1mしか高低差がないの?」

そう。それで、充分に水は流れます。ウンチも、流れます。
 

「へー・・・ま、いいや。解りました。計算できました。便利ですね。じゃ、オワリってことで・・・・」
 

まだです。流量Q も計算しましょう。

「そか・・、 Q = A U だから・・・・ぽちぽち・・・ 流量Q= 0.273 m3/s です。」

つまり・・・273 L/s ですね。風呂は3秒で溢れます。

一分間では、どれぐらいですか?  m3/min で。

「えっと・・・ Q= 16.4 m3/min ですね。なるほどね・・・結構すごい量だなぁ。」
 

じゃ、まとめて言って見て。
 

「水路幅を 1m、水深を 0.2mとして、その壁の粗度係数を 0.02m-1/3 s と仮定しました。

ちょっと汚れたコンクリート壁のイメージです。

そして、勾配は0.01、つまり 1/100の水面勾配になっている流れです。

その平均流速は、マニングの平均流速公式で計算すると、1.37m/s となり、

流量は、0.237 m3/s で、1分間では16.4tonも流れる量になりまーす。よくわかんないけど・・・・

いや〜OK、オッケィ、よくできました。

 
実際に想像できる現象の計算は、その結果を自分の納得でいる単位にして

しみじみと考察すると、思考力が育ちます。


 【そこで一言】

なぞ多き平均流速公式。

U = n-1  R2/ 3  I1/2

しかし、この式は、全国、全世界で使われています。

径深 R とは、何物でしょう?

なぜ?この式には 2/3乗なんてのがあるんでしょう?

粗度係数 n は、どうして n-1 なんて風にわざわざ使うのでしょう?

勾配が2倍変わると流れはどうなるのでしょう?

この式を自然河川に応用するにはどうしたらいいんでしょう?



まだまだ謎だらけのまま

 第13話 

平均流速公式その2

につづく。


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy