[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第11回】(08.09.29)

さぁ開水路の流れですじゃ。

管路の流れと開水路の流れ。水理学を2分するぐらいの違いがあり、

本当は、管路の流れを くどいほど勉強してから

開水路に突入するのが普通なのですが・・・・
 

「なんでです?」
 

開水路は水面が自由に動くので実は複雑な流れなんです。
 

管路は、管の中を流れるので、流れの断面積、つまり流積が変化しません。
 

開水路の流れは自由気まま。

水面は動く、底が石砂であれば掘れる溜まるでソコも動く。

自然河川なら水深増減で川幅も動くわ、溢れるわです。
 

「たっ確かに・・・開水路流れは複雑ですね。そこに生き物も棲むわけだし・・・」
 

ね。それに比べれば、管の中を水満載で流れる管路流れはシンプル。
 

断面は変わらない、ほとんどの場合、人工構造部なので材料は均一性が強い・・・・

だから、管路の流れの方が、とってもシンプル。考えやすい。
 

「ふーん。そんなモンなのかなぁ。でも開水路の流れは見える!

そうですね。それが唯一の解りやすさですかね。身近に感じられるかもしれません。


さ、見て下され。 ここに川が流れてますじゃ。
 

「は?ドコですか?」

ほれ!ここじゃ。ここ。
 

「もー・・・いいです。見えたことにします。川が見えてきました。水がそよそよと流れていますね。
 

ほー。そよそよと 流れておるのか。いーのぅ。

で?流速は いかほどと、推測するかの?
 

「え?この川の流れの速さですか?・・・・さー?・・・どうでしょう・・・あ。

葉っぱが 流れてきましたよ。

あれを・・・みると・・・・うーん・・・テキトーに予測して・・・1m/sぐらいですね・・・・」
 

と、いうように、私達はなんとなく水表面を観察して川の流速を推測します。

でも、それがどの程度正確かどうか?となると不安になりますよね。

「別に?」
 

いや、例えば・・・流量はどれぐらいなのかなーとか、

是非、知りたくなるわけですよ。
 

そのためには、川の流速を知りたい。

「しかたがない、知りたくなったと、無理にでも思うとしますか・・」


今回は

川の流れの速さを あたらずとも遠からず よりは 正確に、

計算できる便利な式を伝授したい。
 

「へー・・・それはなんか便利そうですね。いいんじゃないですかね、

教えて。ほれ、ハヤク。


うむ。で?お前さん・・・・関数電卓は持っておるか?

「は?関数電卓ぅ?持ってませんよ。そんなの。」

じゃ、はよ、買って来い。2,000円もあれば、良いのが買える。

30年前は数万円もしたがのぅ。
 

「ふーん・・・そんなのがいるんだ。じゃ、2千円。」 (て)

ぉ・・・・ハィ・・・・・なんでワシが・・・・コレばっかりじゃのぅ・・・・


「はぁはぁ・・・関数電卓、買ってきましたぁ。ほら、何でも式入力タイプだそうです。」

うむ。それでよい。式入力タイプは便利じゃ。

計算式が呼び出せるので確認や間違い訂正や再計算ができる。

「準備、オケィ!」
 

ほんじゃーいくかー!開水路の平均流速の計算式じゃ〜
 

【マニングの平均流速公式】

どんどん・・・・ばーん・・・どんどん・・・ぱぱーぁぁん・・・ おー太鼓に花火じゃ〜。響3姉妹じゃな・・・1000回まわさんと当らん・・・
 

「平均流速公式、ですか。平均流速・・・ね。管路でも出ましたね。」

そうじゃ。

川の流速は、断面で考えると、底のほうが遅くてじゃ、・・・大体真ん中水面付近が一番速いぞ、

常識的に推測できるのぅ。

「そうですね。端っこは遅そうだし。」
 

そうすると、川の流れを計算するぞー!なんぞと言っても、そんな詳細な流速の分布までは

とても電卓だけでは計算できんぞな。
 

「まーそうですよね。だから、断面の平均流速の計算なんですね。」

そうじゃ。
 

そこで、そのためには・・・・・

お前さん、定常流れと非定常流れ、って・・・知っておるか?

「は?」

等流と不等流って、解るか?

「へ?」

これをちょいと、まずは認識しようぞ。

「なんだよー・・・せっかく電卓握り締めているのにぃ・・・」


【 定常(状態) steady state と非定常(状態) unsteady state 】

常に定まる流れ→定常流 steady flow は、時間と共に変化しない流れです。

常に定まらない流れ→非定常流 unnsteady flow は、時間と共に変化してしまう流れです。
 

「なーんだ、そんなことか。解ったょ。定常ってのは、聞いたことがなかったけど?」
 

水理学は古いので・・・・・

定常流のことを 定流 、 非定常流のことを 不定流

と呼ぶことがあります。河川工学ではそう呼ぶことが多いのかも。

「どっちでもいいんですね。」
 

どっちでもいいでしょう。 けど、私が定流、不定流と呼ぶ事は、この先ないでしょう。

「へぇわかりやした。定常と非定常ね。それで?」
 

電卓で計算できる平均流速なんてのは、そもそも定常流れを仮定したものです。
 

「実際は・・・時間と共に変化しない流れなんて無いですょね。」

そうです。

ずーっと、水面も揺れずに、断面の流速が絶対に、時間変化しない流れなんて存在しません。

だから、仮定、なんです。
 

だんだん速くなったり、遅くなったり、周期的に変化するような非定常性の強い流れでは、

今回の平均流速公式は誤差が大きいでしょう。

予めおことわり申し上げます。
 

「解りました。じゃ、計算しましょう!」
 

まだです。


【等流 uniform flow と 不等流 in-uniform flow 】
 

「へ?定常と非定常と、どう違うの???」
 

等流は、断面積も勾配も水深も流速も、流れ方向にずーっと同じ状態が続いている流れ。
 

不等流は、それ以外。水路幅が広がったり狭まったり水深が深くなったり浅くなったり・・・・
 

という区別です。
 

「そ、そうなると・・・・等流なんで実際には有り得ませんね。アリエネーって感じですょ

そうなんです。
 

で、これから使用する式は、

定常で等流を仮定した河川や開水路の平均流速を計算する式

なんです。
 

「そりゃぁ・・・相当の仮定ですね・・・

時間変化も場所の変化も全く無い水路の流れ・・・・か。無理があるなぁ・・・」
 

お解かりいただけましたね。(もみもみ)

「なんか知らなくてもいいかな・・・・」
 

え?なんて、言いました!!?

「あっ・・・・さぁ、じゃ説明してください」

おっと、時間だ。明日にしましょう。

「えー・・・・」


【そこで一言】

水の流れは複雑怪奇。

水平2次元+鉛直1次元 の x y z だ。  3次元空間を流れます。

そしてさらに 時間 t で変化する。 時間と共に流れは変わる。

合計すると 4次元の世界。 x , y , z ; t
 

定常を仮定すれば、時間軸が無くなって、空間3次元だけ。

さらに

断面の平均流速で流れを唱えれば、よっしゃ、流れていく方向 x だけの1次元

そして

等流を仮定すれば、その水路の平均流速はどこも同じ、たった1つになって、0次元

ここまで仮定してしまえば・・・

電卓でもなんとか計算できます。
 

「その計算した流速って・・・合ってるの?」

だいたい、合ってますよ。
 

「科学なのに、だいだいでいいの?」

いえ、これは工学です。大体でも、テキトーよりは、ずっとまし。


 第12話 

平均流速公式

につづく。


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy