[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第5回】(08.09.23)

時にじゃ。標準大気圧101.3 kPaというのは、どれぐらいの圧力なんじゃろうなぁ?シュー

「もう船に上がったんじゃないの」

お? ぉぉ、そうか・・・癖になったワイ。シュ〜


101.3 KPa = 101.3 KN/m2 = 101.300 kg・m/s2 /m2

圧力 = 力 ÷ 面積

ふむ。ふむ。  力は f=mαじゃ。

 質量は m = f  / α じゃな・・・この場合、加速度αは重力加速度 g = 9.8 m/s2 じゃ・・・。

よし、大気圧を、 質量のイメージで捉えようぞ!
 

「つまり、例えば1m2の広さに、何を載せれば、

その面に加わる圧力が大気圧と同じになるか?ってことですね。」

うむ。標準大気圧は、101.3 kPa = 101.3 kN/m2 じゃから、

1m2 に 101.3kN 載せればよい。

その質量は・・・101,300 kg・m/s2  ÷ 9.8 m/s2 = 10,337 kg = 10.3 ton・・・・
 

「え?質量、10トンですか!1平方メートルに10.3トンの物体?」

ぅ、うむ。すんごいのぅ。大気圧というのは!
 

「うっそー。だって大気圧でしょう?今ボクの周りにも・・・そんな巨大な力?」
 

鉄で言えば・・・・鉄の比重は7.85か・・・

1m3 では 7.85トンの質量。 1m×1m×高さ1.3mの鉄の塊が 1m2の上に載っておる!

そんな圧力なんじゃなぁ・・・・

「なんか、フシギ・・・・というかウソ臭いぐらいですね・・・」

さらに、ちょっと単位をいじってな。面積を1m2 じゃなく1cm2 にすると・・・

「あぁ、もっとイメージしやすいですね。やって。」

 1m2 = 100cm × 100cm = 10,000cm2

ということは、10.3tonを10万で割る。

10,337kgf /10,000cm2 =1.03kgf/cm2 = 1.03kg×9.8m2/s /cm2 = 10.1 N/ cm2

「へー・・・指で1kgの物体を支えているイメージですね。大気圧って。」


よし、ほんじゃ、でいこう。水の質量は?密度は?

「1Lで1kg。 密度はρ=1,000kg/m3 です。」

うむ。それが・・・質量10.3トンになればよい・・・・。おぅ簡単じゃ。10.3トンの水じゃな。そのまんまじゃ。
 

1平方メートルの水柱なら、高さ10.3mですね・・・・。あ!!」
 

あっとる。水は水深10.3mで、だいたい 1気圧なんじゃからのぅ・・・・
 

「ウソじゃないんだ。びっくりィ。」


さ、ほんじゃ、今度は液体、水の圧縮性に参りましょうぞ。

これがホントの今日のテーマですのじゃ。
 

「水は圧力をかけると・・・縮むの?」
 

実はのぅ。

「ハ、ハィっ」

ちぢまなぃ
 

「エ?」

変わらない。
 

「エ?声が、ち、ちいさぃ・・・ですよ・・・」

・・・
・・

水は圧力を加えても体積は変わらない非圧縮性じゃぁ〜

キーン・・・キーン・・・キーン・・・
 

「・・・・ぅぅ・・・・耳鳴りが・・・する・・・・。ひどいじゃないですか!もぅ」
 

水は、いや液体は、圧力を加えても体積は変化せん。

「なんだ・・・じゃ、水理学では、圧縮性は関係ないんですね。」
 

うむ。ほとんどカンケーない。逆に、引っ張りの力が問題になることがたびたびある。

「え?水を・・・・引っ張るんですか?引っ張れるんですか?水って。」
 

ぃや。ぜーんぜん、引っ張れん。引張りには無抵抗じゃ。空気も水も。

「流体は 引長力には無抵抗 なんですね。」
.
そうじゃ。

「で?なんで、問題が起きるの?水を引っ張ると・・・・どやって引っ張るの???」


潜水艦がな。・・・・そう、ソ連の潜水艦がな・・・アメリカの潜水艦とな・・・・

深い海の只中で・・・・あいまみえたとき!にな。  ( ソ連と来たか!)
 

「き、緊張しますね。・・・でもなんか話が飛びましたね。ぃやこの場合、話が沈んで入ると・・・・
 

双方の 優れた耳を持つ へーたいさんが 聴診器みたいなので、じーっと聞き耳澄ます・・・・・
 

「あー、なんか、映画や漫画とかでありますよね。チンモクの巨大艦隊とか!

うむ。

「スクリュー音ですね。」

うむ。

「それが・・・なんか関係あるの?水引っ張りに・・・・あぅ!」

そうじゃ。スクリューの回転が、あんまし速いと、水を引っ張る

水を引っ張りすぎると、スクリューの羽の周りに減圧する場所ができて

・・・ぐんっと負圧になると・・・・
 

「どうなるんです??」
 

海水に溶けている酸素なんかが、気体になる!
 

「おー・・・・ぼこぼこぼこぼこ・・・・・て、がしちゃいます。」
 

そうすると魚雷がとんでくるという仕掛けじゃ。

コワイのぅ。

「はー・・・・なるほど・・・・」

そんなわけで、この現象は、キャビテーション と言われておる。ウンチクじゃ。

まああんまし、ふつーの水理学には関係ないの。

これはどっちかというと、機械屋さんに関係する話じゃ。


「はー・・・終わった。今日のは短くてよかったです。」
 

おわっとらんよ。まだまだじゃ。

「へ?だって、水には圧縮性がない。非圧縮です、で良いじゃん。オワリィ〜
 

流体のな、圧縮性を定める指標を 話そうではないか。

「指標?圧縮するか、どうかって言う性質のですか?」

そうじゃ。

このウンチクをもって、この圧縮性物語は完結する。

「はぁ・・・・シヒョーかぁ・・・じゃ、どうぞ。」

お前さん、マッハって、なんか、知っておるか?

マッハですか?・・・・

ッ○ごーごー まっはゴー○ー ま○は ゴーゴー ゴー〜・・・・・ですね!」

白黒じゃ、その時代は。お前さん絶対、生まれとらん。
 

「音速・・・・です。マッハは音速! 340m/sですっ。 うき〜 正解 

ぶっぶー・・・・ぷっ、ぷっ・・・ぺっぺっ・・・

「おっとっと・・・ひどぃ、つば、飛んできましたよ。なんですか、間違いなの?」

マッハは音速では、無い。
 

マッハ数 M は、

M = U / a

U は、流れ場の代表流速、平均流速、あるいは場の流速じゃ。単位は m/s

a は音速、その流れUが発生している気体やら液体やらを音が伝わる速さじゃ。単位は m/s
 

「とっとっと・・・・速度 分の 速度・・・・無次元量ですね。コレ。」


そうです。

マッハ数は、速さと音速を比較した数、無次元量。

マッハ数が音速を現すのではなく、マッハ数が1のとき、その速さ U が音速である 、です。

速度 U = 音速 a このときがマッハ1であり、

そのときU は音速に達した・・・ということです。くどいですが。
 

「そっか・・・そういえば、そうだよなぁ。マッハ2のジェット戦闘機っていうのは、

音速の2倍の速さでかっ飛ぶ戦闘機っていうことだモンなぁ・・・

で? 圧縮性と、なんか?関係があるの???」
 

ある。気が遠くなるほど、あります。


さっき、340m/s と言ってましたね。あれはなんですか?

音が、空気中を伝わる速さです。1気圧15℃・・・だったかしら? ・・・ぁ、つまり音速ですね。」

うむ。カミナリがぴかっと光ってから、教室の全員が 数を数える、あれじゃ。
 

ふむ。ほんじゃ〜水中を、音が伝わる速さを教えて下さい。

「へ?水中を・・・音が?伝わる速さか・・・・ちょちょっと調べますね・・・・。

ヤフーにぐーぐる・・・・と・・・

あー・・・あった。 なんか式あるけど・・・約1,500 m/s・・・です。

へー・・・速いなぁ・・・・空気中の5倍ぐらい速いのか・・・知らなかった・・・」
 

さ、これで、役者が揃いました。

空気中の音速は 340m/s 、水中の音速は1,500m/s。

「へぃへぃ。」

空気中では、ジェット戦闘機がかっ飛ぶ。でも水中で、最も速く移動できる乗り物ってなに?

「 原 子 力 潜 水 艦 で す か ね ?」

では、その速度は?

「そ、それは、軍事機密でしょう。」

でも、時速500kmなんで、絶対に出せないはずでしょ?

「まぁそうでしょうね。水中では絶対無理ですよ。」


大気中では、抵抗が少ないので、音速を超える高速で移動する物体が存在します。

そうすると、空気の流れる速さも 局所的に あるいは相対的に 音速を超えることができます。
 

「はぁ、なんとなくわかるけど・・・難しい表現を使いますね。」
 

ところが、水中では、音速はすごく速いけれど、抵抗が大きくて、物体の移動する速度は遅い。
 

これをマッハ数で現すと、

大気中では、マッハ数が1より大きくする流れを作ることができるけど、

水中では、マッハ数が1になる流れなんて、無理、無理、無理ですよ・・・・となる。

「と・・・いうことは・・・・

マッハ数 M が、圧縮性の指標になる、ということなんですね。」

ひゅ〜・・・・・

ぱん パパパ パーーン バリバリバリ どどーん スターマインがあがりましたぁ。

せ い か い で す。
 

流れの速さと音速を比較して、1/3以下の場合には非圧縮、

それより大きい場合には圧縮性がある、と考えろ、と流体力学の本は唱えています。

M > 1/3 は圧縮性流体 ( compressibility fluid )

M < 1/3 は非圧縮流体 (  incompressibility fluid )


【そこで一言】

「やった・・・オワル・・・・」

「じゃぁ・・・・つまり、空気だから、必ず圧縮性を考えろってワケじゃないんですね。

空気の流れでも、流速が音速の1/3、つまり100m/s位までの流れなら、

圧縮しない。圧縮性は考えなくてもいい、ということか・・・・」

すばらしい。

そして、水中では、音速の1/3、つまり 500m/s 、時速にして1,800kmの速さでないと

圧縮しません。そんなこと、まずありえないので・・・・

水は非圧縮

なのでした。


明日 第6話 

やっと 粘性の話

につづく。


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy