[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第4回】(08.09.22)

今日はダイビングの話ですのじゃ。

「 ふー 助かった・・・。 そうか、海の中の水理学ってわけですね。」

や・・・どっちかというと・・・・海の中の流体力学っぽいが・・・・まぁカンタンな話じゃ。


さぁ潜るぞぃ。ちゃんと沈むように、オモリも 30kg つけるか!

「そ、それじゃーまるで東京湾にシタイ沈める風になっちゃいますよ。」

じゃ、5kg で・・・・
 

ジャイアント ストライド エントリィ〜 ( ・・・て、敵はドコ? )

どっぼーん・・・ぷく ぷく・・・・・

シュー・・・お・・・沈んできた・・・ど ん ど ん 沈 む ・・・・

シュー・・・今何メートル? ダイコン(だいぶこんぴゅーたぁ)を見ようぞ・・・シュー

・・・・水深 5 m か・・・・シュー

うっ!!!痛い! いたい いたい いたいいたいいたい・・・・ひー・・・シュシュ〜

「なにが痛いんですか?」

みみじゃ。耳の奥がミリミリと痛む。こりゃ個人差はあるが強烈なもんじゃぞ。シュー

「な、なんで?たったの水深5mなんでしょう?」

水圧が、体に圧力がかかってな、耳の中の空気が押されたのじゃ。シュー

そしてその空気が、縮んでしまったのじゃ。 シュー

鼻と口と耳は空気の通りがスースで、しかもマスクで覆ってあるが、シュー

口から耳までは障害物が多くて遠い・・・。つまったりすれば、圧力で縮んで痛むぅ・・・シュー

水圧で、気体が縮む?そんなこと、あるの?」

そうじゃ。気体、空気は圧力が変わると、簡単に体積を変える。困ったもんじゃ。 シュ〜

「ど、どのぐらい変わるの?」


ほんじゃ、有名な式をご紹介しましょう。 シュ〜

【気体の状態方程式】

p V = n R T

p は 圧力ですね。 」 そうです。

V は・・・体積ですか?」 そうです。シュ!

「あとは・・・・n? R? T? なんですか?それらは??」

T は temperature 温度で、nはモル数、Rは気体の状態定数なんですが・・・

まぁこの際、話を簡単にするため、a = nRT とでもして、定数と仮定して考えましょう。

そうすると・・・

pV=a →  V = a / p

となって・・・・・圧力 p が大きくなると体積 V が小さくなる、ことが解ります。

体積 V と圧力 p は反比例する、って式になってますね。してます?

あっ、シューシューシューシュー・・・・・・はぁはぁはぁ


じゃ、具体的に・・・・・

貴方の頭の中の、鼻耳ひたいあたりに詰まっている抜けにくい空気が1リットルあるとします。シュー

「そ、そんなにあるの?」

ない、でしょうね。でも 解りやすいように、1リットルと仮定してみました。

潜る前、船の上は1気圧です。101.3kPa の圧力です。

そのとき、鼻耳ひたい口に肺の中の空気も、同じ1気圧ですね。シュー

同じ圧力なので、全然圧力なんて、感じません。

「まぁふつぅにそうですね。」

水深5mに潜ったとき、水圧は・・・どうやって計算するんでしたっけ? シュー

「 p = ρg h です。

海水の密度ρを1030kg/m3 とすれば、水深5mでは 約 50.5KPa になりますね。」

そうです。 50.5KPa  は、0.5気圧。

水深5mの深さに潜ると、大気圧に水圧が加算され・・・ 1.5気圧になったことになります。シュー

V =a / p

ですから、 1000ccあった気体は、その1/1.5 。 66%になっちゃいました。シュゥウ

330cc減っているのです。1/3も縮みました。  シュー

「ひゃー・・・ずいぶん・・・縮むんだねェ」

10mの水深では、半分の 500ccになり、

15mの水深では、400cc

20mでは 333cc

30mでは250cc 1/4 になっちゃうのです。75%も縮んだことになります。 シュー shu-

100mでは・・・たったの 90ccに、縮んでしまいます。(まぁコレ大体だけどね。)

「そ、それは・・・痛いでしょうねー。大丈夫なの人の体は?」

実際には、圧縮空気のボンベから加圧で縮んだ空気を体内に取り入れて、シュー

肺の空気も、口鼻耳ひたいのスキマの空気も、その水深での圧力に調節します。 shu-
 

ダイビングの際の圧縮空気の入ったアノ重たいボンベの役割は、

酸素の豊富な空気を肺に与えると共に、減圧して縮んだ気体の体積を充填するという役割もあるのです。シュ〜

「つまり、酸素と圧力の供給源なんですね。あのタンクは。」

そうです。シュ〜シュ〜
 

「へぇ〜・・・・で?趣味のダイバーの人たちは何メートルまで潜るの?」

普通は20m位までです。そのあたりは光もさすので珊瑚や魚いろんな海中生物が棲んでますが、

30m以下になると、段々生き物自体の密度が薄くなって・・・シュー

40mを越すと、滅多に生き物にはお目にかかれなくなり・・・光も弱く暗くなってしまいます。・・シュー
 

「じゃー40mになんて潜ると、耳がものすごく痛くなるんでしょうね。」

いいえ、シュー・・・耳が痛いのは20m位までです。

それより深くなると、それほどでもなくなります。シュー・・・

「へ?なんで?マヒしちゃうんですか?」

いえ、1気圧の水面から、1.5気圧の水深5mに潜ると、空気の体積は33%減少しますね。shu

「そうですよね。さっき計算しました。」

その際に、耳抜きというのを何回もやって、耳の中の空気を1.5気圧にするのです。shu

「は・・・そうすれば、痛みはなくなるんですね。それで?」

水深5m 1.5気圧の深さ、から水深10m 2気圧の深さに また5m潜ると、

空気の体積は、 1.5/2 = 0.75 。 つまり 25% 減少します。shu-

「あれ?同じ5m沈んでも、水面からと5mのところからでは、体積減少率が下がってる。」

水深15m では 2.5気圧。そこから5m潜って20mのところは 3気圧 です。 シュー

だから、空気の体積は、 2.5/3=0.83 。 つまり 17% しか減少しなくなります。

「ほーぅ。なるほど・・・深い水深では、体積の圧縮率が緩和されるって感じですね。」

そうです。だから、水深20mあたりは、ちょっと上下しても、浮力の調節も耳抜きも、しやすいのです。 シュー
 

ダイビングの基本は、水深にあわせて 空気量を調節し、浮きも沈みもしない状態を維持することです。

これを中性浮力を維持する、といいます。

「どやって?そんなことができるの?」

BCというジャケットに出し入れする空気の量と、呼吸です。

「呼吸?へー。・・・息してる?

はっ、シューシューシューシューシュー はぁはぁはぁ・・・シュー

ベテランの人たちは、とっても上手に中性浮力を維持します。

だから、水中移動がスムーズ。シュ〜
 

初心者の人手も、耳抜きができて15m位の深さに沈めば結構ラクチン。

逆に、水深3mから7m位までの範囲は、水圧による空気の体積変化が激しいために、

ダイビング初心者の人は、その調節できなくて、すぐに水面に浮いてしまいます。

(私もそうでした・・・シュー)
 

余談ですが・・・・シュー

ベテランのダイバーだけが潜れる 水深40mの世界では・・・

数分間、その深さにいるだけで

意識が もうろうと、してくるのだそうです。シュー
 

「なんで?」

水理学とは全然関係ない話ですが、シュー

「 ぁ、いーの いーの。その方が。」

圧力が大きくなると、液体に気体が溶けやすくなっていきます。シュー

「ふんふん。なんとなく、イメージできる。」

そうすると、圧縮空気中に80%もある窒素という気体が、血液に溶けて行くのです。シュゥ〜

「窒素が?体に入ってくるの?血液に?溶ける・・・ヒー」

そうすると、その窒素が溶けた血液は、脳みそに酸素を運ぶのを阻害し、

脳の働きが弱まってくるのです。オバカに変貌するようです。シュゥシュゥ・・・


「今日の話は、つまり、気体には圧縮性があるって、言いたいンですね。」

パンパカパーン!!大 正 解 〜 シュ シュ シュ〜
 

「解りました。理解しました。

じゃ、もう上がっていいです。その海の底から さっさと出てきて。」
 

ファーィ・・・・シュ〜シュ〜・・・・・
・・・・
・・

遅いなぁ・・・・さっさと上がってくればいいのに・・・・なにやってんですかー」
 

シュ〜・・・・ぐー・・・ぐー・・・スー・・・スー・・・シュー
 

「な、なんだよ、そんな水深5mのところで止まって。じっとしてェ」
 

シュー・・・・これが大事なんじゃ。シュー・・・・

この水深5mのところで、5分間はじっとしておらねばならん。シュー
 

「ふーん。それってダイビングの決まりなの?ルールなんですか?」

ルール? シュー

いや、そうでは無い。これは人体にとって重要な動作なんじゃ。シュー

群集中のルールではないのじゃ。自分の身の安全のためじゃ。シュー
 

10mより深い水中に何分間も潜っていると、その深さと時間によって、

体内の血液中に、わずかでも窒素が溶けているのじゃ。 シュー
 

溶けた窒素は、いきなり水面、大気圧中に飛び出ると、

体から抜けにくいばかりでなく、 シュ〜

「ば、ばかりでなく!」
 

なんと!体内血液中で、窒素ガスに変貌する!!・・・・シュゥゥ〜
 

「あ、危ないじゃないですか!血液に気泡が入るなんで、死んじゃいますよ!」
 

そうじゃ。昔は潜水病、今は減圧症(病)と言われておる。シュ!

この病気の重度になると、数ヶ月は直らんらしぃ。しかも加圧室での監獄生活じゃぞ。シュゥゥ

「恐ろしいですね」
 

ときどき映画を見ておるとな シュー
 

怪物から逃れて海底から猛然と水面に浮上する主人公とそのヒロインがほっとして shu-

エンディングを迎えて、みんなもほっとするわけじゃが。シュー
 

わしゃ、・・・あ〜ぁ・・・こいつら、これから 闘病生活 なんじゃなー

と、思わず 哀れむ のぅ。 シュ〜・・・
 

「早く上がってコイ」



【そこで一言】

「気体、空気は圧力で体積が変化する・・・・。」

そうじゃ。

「じゃぁ液体は?水は?圧力で体積って変化するの?」


明日 第5話 

圧縮性の話がもう一回

につづく。


 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy