[特別版 水理学シリーズ 目次]

【 水 理 学 第1回】(08.09.19)

水の ことわりを 学ぶ と書き、す い り  が く  と読みます。


土 木 工 学

道路、橋梁、ダム、公園、交通網、上水道も下水道も、排水処理施設、堤防に

土手、水路、発電、そして鉄道、港湾施設だ防波堤

もちろん 塩受け堤防も、水門も・・・・全て土木工学。

20年前には どこにでもあった土木工学科は、

今や 日本国中探しても わずかの大学にしか その名を残しておりません。

建設工学、社会基盤工学、社会環境工学、環境システム工学・・・・建設環境工学・・・・

中身はまるっきり土木工学であっても、今は名称変更でいろんな名前に化けました。

ホントに本気でまったく統一性がなくなってしまったようです。

というか、できるだけ他大学と違う名前を付けたがった風ですね。
 

様々な公共事業を実施する土木工学

その必要性が この世から失われることは 絶対にありません。

土木工学は、私たちが便利に快適に暮らすための生活環境を、公共施設や公共のシステムとして整える、

とても古くて、人気も無くて、新鮮味は皆無に等しい、だけど、

未来永劫に私たちの暮らしに無くてはならない工学分野の ひとつなのです。


その、土木工学の体系の中に、極めて重要な位置を占めるもの、

その第一位は、どなた様も同意するはず。 間違いなく 応用力学 です。
 

鉄やコンクリート、土、石、木・・・様々な材料を用いて構造物というものを作りますが、

その際の基本として、どんな力が働くのか?力がどの様に影響するのか?

それを、大体これぐらぃ・・・というアバウトな予測ではなく、

かっきりした量で、考えて行くものです。

力の理論や計算方法を修練する学問です。
 

そして、第二位はなんじゃ?と聞かれれば、間違いなく答えます。

それが

水 理 学

Hydraulics

です。

水の及ぼす力。水が動いた時の力、速さ。水がもたらす圧力。水流れのエネルギー・・・

水の挙動の考え方。水が引き起こす問題・・・・

そして、それらの具体的な計算方法を

解明示した学問、

それが水理学です。

おそらく水理学は土木系の学科でなければ学ぶことができません。

土木工学特有の科目なのです。
 

水環境問題を議論しようとする時、水棲生物の住処を構築したい時、

水処理施設を考えたい時

小さなものでは・・・

そう、水槽で魚を飼いたい時に・・・なんか工夫したぃ、なんてとき。

きっと、お役に立つ知識と考え方。

貴方の思考力と想像力は、より一層膨らんでくることでしょう!
 

そんなわけで、

まさか、EEL NEWS に、こんなテーマが登場するとは!

意外も意外、なんで、まさか、え?べっ勉強? の物語。
 

タイトルに、「簡単な」も 「解りやすい」も 「初心者の」も 「基礎の」とかも、何にも付けずに【水理学】

だって、元がEEL NEWSだもの。

コレに、秘伝をつけるわけにもいかないし。
 

さぁ はじまりますよぉ!!

水理学の第1回目 スタートゥ です。

パーン パン パーン (花火が上がってるところを想像下さい。あーキレイですねーわくわくしますねー)

モハメドー! マホマドー! メホメドー!   (お〜意味不明な歓声も聞こえてきましたね〜なんでしょう??)


【 水の重さと 水の力 】

〜静止した水溜まりの中で〜
 

のぅ・・・。水の重さというものは・・・・どんぐらいじゃか知っておるか?

例えば、ホレ、水 1リットルじゃ。
 

「ばっ馬鹿にしないで下さい。

1Lは1,000mL、1,000cc、0.001m3。その重さは1kgです。1気圧4℃で、です。」
 

ふぉー・・・見事な答えじゃ。

困ったことに、普通の人は重さと言うが、この段階で、密度と比重と単位重量(単位体積重量)

なんぞという専門用語が登場する。

(あっあっ この段階で、リタイァですか!!待って、ちょっと、待って・・・)
 

「密度と比重と単位重量? なんか物理っぽいですね。」

うむ。
 

密度は、質量が一定の体積に、どんぐらい詰まってますか?というものじゃ。
 

一定の体積を、1メートル×1メートル×1メートルの・・・1m3 としてじゃ。
 

質量つうのは「重さ」ではなく、本質的なその物体の量じゃ。

1m3の水を、無重力な宇宙に持っていけば重さはゼロじゃが、量はある。

宇宙でも、1m3の水の質量は、変わらずに1,000kgなんじゃ。
 

「はぁ。・・・まぁそうでしょうね。そうなんでしょうけども・・・

そうすると、水の密度は・・・1,000kg / 1m3 = 1,000 kg/m3

なんですね。1気圧、4℃で。」
 

すばらしぃ!そうじゃ。そのいちいち単位をつけとるのがものすごくヨィ。
 

普通、密度はギリシャ文字の ρを使う。ろーと呼ぶ。はぃ、ろー・・・・

「ろ〜・・・ρ ロー ρ〜・・・・知ってますよっ、それっくらい。」
 

密度はなんとなく知っていても、その数値が言えても、

単位を聞かれるとサッパリ答えられん若者が ものすごく多い。

単位は、その数値が何物かをよくあわらす。

めんどくさがらず、いっつも単位をつける癖を持ってくだされ。お願いしますじゃ・・・
 

「で・・・比重っていうのは、水の密度と比べた他の物体の密度の比なんですよね。」

そうじゃ。

もちろん単純に、”水との重さを比べる”と言っても、世間では間違いでは無い。

水の密度を1,000kg/m3として、他の密度と比較する、これが比重。
 

例えば、そうじゃな・・・水銀なんかどうじゃ? Hg じゃ。あれは重いのぅ。

「そんなの持ったことないですよ。ぁ、古い体温計にちょこっと入ってるか・・・・」

水銀(15℃)の比重は 13.559 だそうだ。

「へー・・・水の14倍近く重いんですね。というか密度が13.559倍か・・・」

そうじゃ。だから、水銀の密度は 13,559kg/m3 と言うことじゃな。

ひゃー・・・1m3で、重さが14.6tonもある。こりゃかなり重い。
 

で・・・海水の比重は1.01〜1.05だと。エタノールC2H5OHは 0.8 ぐらい。水より軽いんじゃのぅ。

重油の比重も 0.9程度で、重い油と書いても水より軽いことが解る。
 

比重には単位は無い。同じ単位のもの同士を割ったからじゃな。

量には、こんな風に単位の無いのもある。無次元量というやつじゃ。
 

無次元量の多くには、”比較した”という意味が含まれる。こりゃ大切な認識じゃ。
 

「で?比重はどんな記号を使うの?」

ぉ、なんでも、 だそうだ。小文字の s じゃ。 エス と呼ぶ。はぃどうぞ。

「エス・・・・エス・・・って、読めますよ。それぐらぃ。」

例えば、1気圧4℃の水の比重は s=1.0 じゃ。あったりまえじゃが・・・
 

まぁ詳しくは、「基礎水理学 林 泰造著 鹿島出版会」のp.4じゃ。これを参考書とする。

「な、なんで、その本を選んだんですか?」

ワシが大昔、水理学を習った先生なんじゃ。東大出で元国際水理学会会長の大先生じゃ。

この人が土木学会を歩くとモーゼの十戒のように人ごみが割れたもんじゃ・・・・

学食で缶ビールをおいしそうに飲んでおった・・・

ワシの公聴会にも学位取った時のパーティにも来て下さった。・・・・懐かしいのぅ。もうだいぶ前に亡くなられたが。

まぁ、本の内容は、ちょっとめんどくさく書いてある・・・・。

ワシは、授業では参考書はほとんど使わん。じゃが、記号はこの本のを使うことにする。

( しまった。 こ、これ、授業だったんですか!)


「で?単位重量ってのはなんですか?」

うむ。実はこの量は、今ではホントはご愛嬌じゃ。

SI単位系ではなく工学単位系で 密度の代わりに使っていたようなもんじゃな。

現在の標準単位である SI 単位系では、単位重量ってのは・・・言葉としてはあまり使わないはずじゃが・・・

古い本や工専あたりでは、工学単位が今でも現役バリバリかもしれん。

「なんで?そんなことが解るの?」

なんか編入学で入って来る学生は工学単位にそまっとる・・・。
 


単位重量は γ (ガンマ) であらわされます。

γ = ρ g  

単位重量 = 密度 × 重力加速度

g は、もちろん、重力加速度です。単位は知ってますか?重力加速度の。
 

「ぇ?じゅうりょく かそくどの・・・単位ですか? ぇーっと 9.8・・・2・・・で・・・・めーとる・・・まぃ・・・」
 

m/秒2 、m/s2 、メートル毎秒毎秒、メートル・パー・セコンド2乗 です。
 

「ぁっ、そうだそうだ・・ちょっと 忘れしただけですょ。」
 

で?その単位には ”どういう意味が” ありますかね?
 

「へ? イミぃ?  メートル毎秒毎秒・・・の意味ですか?

そんなの・・・・

加速度の単位っていう意味ですよ。」
 

ふむぅ・・・・残念じゃのぅ・・・・

ホントは知っておるくせに、のぅ・・・・

「言って見て。」
 

加速度は、速度の時間変化を表す量です。
 

速度の単位はm/s 。距離の時間変化です。

一定時間 (s) にある距離(m)が進んだ。  m÷s  これですね速度は。
 

加速度は、その速度の時間変化です。

一定時間(s)の、速度(m/s)の変化 →  m/s ÷ s → m/s/s → m/s2  となります。
 

「そ、そでしたよね。わはは・・・・つまり、重力加速度は、

9.8m/s2 だけど、その意味ってのは、

一秒間ごとに、速度が 9.8m/s 加速していく、ってことでしたね。そうですそうです。」



「で?何の話でしたっけ?」
 

単位 (体積) 重量は γ =ρg なんですが、そうすると単位は

kg/m3 × m/s2  → kg / s2m2 という、意味不明の量となります。
 

「なんですか?その単位は??見たことないし・・イメージ沸かない。」
 

そーですよねぇ。ほんとに変な単位ですが、これにはニュートンの第二法則がからんでるんです。

「ぅへー・・・ニュートンと来た・・・もうだめ・・・もう寝る・・・」

あ・・もうちょい、もうちょい・・・・

【ニュートンの第二法則】

力 は 質量 × 加速度 なり です。

f  = m α

です。

加速度の記号は大学っぽく、 α (アルファ) としましょう。

質量は m (えむ) これは、マス mass から取ってみました。

質量の単位は kg です。 加速度の単位は m/s2

そうすると 世界が認めた(ちから)の単位は  kg・m/s2 となます。

力は force なんで 記号 f を使いまーす。
 

「はー・・・つまり、ちからというのは、重さ、かける、加速度なんですね?」

ちがいます。

質量 かける 加速度 です。

「ひぃぃー・・・・助けてクレー」

重さ という表現には、既に加速度が絡んでいるのです。

地上で我々の感じる重さは、質量が重力加速度を浴びた結果なのです。
 

だから、我々が1kgの重さというときは、実際には、

1kg × 9.8m/s2 = 9.8 kg・m/s2

が正しいのです。

「誰も、そんなこと言いませんよ。 1kgの重さは 1kgですっ。」

そうですよね。

だから、工学単位系という一般的に解りやすい単位がずーっと使われてきました。

でも、質量とはやはり区別したいものです。そこで

工学単位系では、1kgの質量の、地球の地上での重さは 1kgf と書きます。

「エフ? f ? キログラム エフ・・・・kgf ・・・」

そうです。エフは、 これも、force の f 。フォース、力の f です。

「なんか・・・フォースじゃなくて、ボクのギアスを使いたくなってきました。」

工学単位系でも、kgは質量。 そして工学単位系では、kgf は力、そして重さの意味を持ちます。

重要なことは、kgf という単位は、

重力加速度9.8m/s2 を浴びる、地球の地上だけでの限定単位だということです。

大昔の日本の本では、 kgf ではなく、kg重 として書いていました。

「じゅう、ですか。重。 kg重 キログラムジュー・・・ですか。聞いたことなぃゃ。」

ええ。懐かしい、響きです・・・・kg重を語る先生方はもうすぐ絶滅するでしょう。
 

「じゃ、現在の標準単位の、その・・・SI単位系ってのでは、重さはどうやって現すの?」

SI単位系では重さっていう概念は無いかも。

「ェ〜重さないの?変だよ。おもさって言わないの?ナニそれェ、変だよ変。」
 

SI単位系でも、単位重量 γ=ρg は、もちろん正しいのです。

SI単位系では、とにかく力を正しく明記したいのです。どの場でも通用するように。

加速度の違う世界でも、そう、月でも宇宙でも

力を正しく正確に、表したいのです。
 

SI単位系での 力の単位は f=mαより

kg・m/s2

これを

N

と書き換えました。

「えぬ、ですか。・・・いえ。知ってます。思い出しました。それ・・・

にゅーとん。ニュートンというんですよね。」

そーです。そのとおり。

宇宙に通じるSI単位系ですが、力の単位を いちいち kg・m/s2 と書くのが面倒だったのです。

それに、この kg・m/s2 が複雑な単位の中では、埋もれてしまうこともあります。

そこでアイザック・ニュートン様の巨大功績にあやかって、

力の単位を kg・m/s2 = N (ニュートン) と現すことにしたのでーす。
 

「・・・・どうでもいいけど・・・これって水理学の話ですよね。」

そ、そうですよ。なんか、文句あっか!よぅ。

「ま。いいや・・・・そのうち・・・オレのギアスで・・・」
 

それじゃ、単位重量の単位を、もいっぺん見てみると・・・・

γ=ρg

密度 × 重力加速度

  [ kg/m3 ] × [ m/s2 ]

=  [ kg・m/s2 /m3 ]

= [ N / m3 ]
 

「ぅおーホントだ!力が入ってる。ちから入ってますね。ちから入りますねコレ。

単位重量って、単位体積当たりの力なんじゃん。こりゃ驚いた。」

そうでしょ。

単位重量というのは、ふつーの認識では、単位体積当たりの重さということですけど、

それは同時に、

単位体積当たりの力という意味があるのです。

で、SI単位系では、そうしたことから、重さという感覚的な概念ではなく、

質量 kg

密度 kg/m3

力 kg・m/s2 = N

をつかって説明したい、ということで、

単位重量と言う言葉はあまり使いません。

ただこう言う・・・・ρg と。

そして、それは 単位体積当たりの力 という意味なのです・・・・
 

「ふー・・・・もぅ、オワリでいいですよね。今日は・・・・」

なにぃ?まだサッパリ水理学のハナシは しとらんぞ〜これからじゃーむふ むふぅ・・・

・・・・ぉぃ

・・・・ぁ・・・帰っちまった・・・・


面白くも 楽しくもない 水 理 学

第2話に、ィヤでも 続く・・・

 
Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy