【秘伝!グッピーの増やし方 第3回】(08.09.07)


さ、一週間経過しましたねどうですか水槽の調子は?

「へ? 始めたのおとといだよ。」

しー。 7日経ったことに するのじゃ。



グッピーは繁殖しやすいのだから、どうせなら、たくさん水槽で飼ってみたい。”

”そして、水槽には雄も雌も成魚も若魚も稚魚も、様々に泳いでいて、
産んだ食われた死んだ、でもその中に、グッピーの生態系がある続いて行く・・・・"

そんな無茶な目標を持って、【秘伝グッピーの増やし方】なる
奇妙な物語が始まっています。

第一回目は水槽の準備と立ち上げ時の餌について、見事な秘伝が披露されたようです。

第二回目は立ち上げ時の汚れの処理と餌の与え方について、意味不明な秘伝のたわごとが語られました。


で? 7日経ちましたけど。

「もーいろいろな悩みで 困ったに なんで?に いじりたい です。

オス2匹とメス1匹が死にましたっ。死骸は取って捨てましたっ。」

順調ですね。

「ェー。3匹も死んだのに順調なの?」

立ち上げたばかりの水槽で、雑種安売りグッピー10匹投与、

コナミぽろぽろの餌やりで、

7日以内に成仏したグッピーというのはね。

「ぅん。なんか、コロッと逝ったょ。」

まぁ残念ながら死ぬ運命にあったんですよ。他は元気ですね。

「たぶん元気。最近、ケンカしてるんで困ってます。」

ケンカ?

「ひらひらが ひらひらじゃないのを 追い回して 後ろから やりもって 攻撃。」

やり?

「プル プル 震える 時もある。 ひらひらが。」

「あと、ひらひらが、静止して、体を横に丸めて、敵を狙ってます。」

ほー・・・・見事です。

「ハ?」

それは、みごとな、グッピーの交尾のシーンですね。


ひらひらグッピーはもちろんオスの成魚です。

腹出っぷりのグッピーはメス。

その腹出っぷりのところが、やや茶色くなってくると、
オス成魚はなにやらそれに惹かれるのでしょうか。

オスがメスを追いかけ回します。

オスの尻ビレは、ひらひらせずにとんがっています。

普通は後ろにたたんで、泳ぎの邪魔にならないようにしていますが、

その尻ビレの中に生殖器があり、

オスは、メスを追いかけながら、距離5cmぐらいまで近づくと・・・・

「ちかづくと?」

その生殖器を、ぐぃーんと前方に立てる。

「立てる!」

ぐいーんと 立てます。前方向に立てます。・・・それが、”やり”と言っていたものですね。

「で?やりって言っていいの?それ」

ゴノポジウムといいます。やりとはむりやりな・・・。

「それってぐっぴーの○ンポじゃん。」

ま、そですね。

そして、オスはさらに頑張って泳いで、メスにアターック!!

生殖器を メスの腹に 突き刺す! 槍のようでありますかな。

「ぐさって感じですか?痛くないの?」

正確には、メスの腹の下の尻ビレ付近の”穴”に挿入しようとするわけです。

皮膚貫通させて、ぶち挿すのではありません。

で、精子を挿入します。もうほんとに一瞬の出来事です。

「めでたし めでたし ですね。」

めでたし、めでたし です。

グッピーの交尾シーンを図も写真もなんにも使わないで文だけであらわしてみました。
いかがでしたでしょうか。想像できましたでしょうか。
まぁ実物をペアで飼育すればしょっちゅう見られますから。


「そっかー。飼育7日にしてもう交尾か。
じゃぁそのうち生まれるんだ。
産まれるんだぞ
うまれるんだね。
ヤっター。」



雑種グッピーをつがいで購入し水槽に入れた場合、
稚魚を産み落とすのがいつになるのかは、全くもって不明です。

雑種グッピーは、お店水槽内で雌雄混合で展示されてる場合もあります。

その中から購入した場合には、
既に交尾が完了している場合も多いでしょう。

つまり、買って飼ったメスは、もう既に妊娠している可能性もあるのです。


「や〜・・・いつかなぁー。いつ、うまれるのかなー・・・

あと、何ぷん後ですか。」

ぃゃ、そんなに早くは。

「産まれるところが見たいなぁ。どんなのかなぁ・・・」

ダイジョブです。かならずそのうち見られますよ。

それよりも、水槽の状態を観察しましょう。

「へぃ。こんなんですが・・・。

底にウンチやらゴミやらが、目立つようになっちゃいました。グッピーが時々巻き上げてます。

やっぱ、ウンチゴミは取ったほうがいいんじゃないかと・・・・。

上層濾過の吸い込み口は、底に付いてないので、底溜まりしてます。

エアーで攪拌していても、ホラ、ここには溜まってしまうんですよ。

水質も悪くなってるはずです。掃除して水換えましょう。」

なるほど・・・・

たしかにウンチの堆積がありますね・・・

ふーむ。エアストーンの位置を変えましょう。今日の秘伝の始まりです。

「は?」



秘伝】

エアストーンの位置を変えろ。



「は?

全然、意味が、解りません。

どう変えろっての??」


ほらね・・・

ココに置いたら、底のウンチがなくなったでしょ。

「ぅあ・・・

ホントだー。・・・・な、なんかびっくり。

手品だ。魔法だ。ハリーポッテゥだ。 秘伝だ。これはまさに 秘伝です!」

ぃやそこまでは・・・

「すごいね。やったぁ、これで、ゴミウンチは全部上層濾過に吸われました。

いよいよですね。 いよいよ、上の掃除をする時です。」

だーめです。まだ全然詰まってませんょ。

この水槽の上層濾過装置は、今のところ最重要なる生命線。

やっと、ほんのちょっとだけ、生まれ出てきたバクテリア。

そしてそれは水をキレイにする微生物。

まだ絶対に洗ってはなりませぬ。


ぃや〜 よかった よかった。 今日は早めに秘伝も出せたし、日曜だし。
さ、今日はこれまでにして、さっさとパチンコに・・・

「ちょっと待って。」

おっと。

「もうすぐ生まれるんじゃないの?」
「餌やりは相変わらずコナミポロポロなの?」
「栄養不足にならないの?」
「水乾いて減ってきたけどどうすればいいの?」
「そういえばライトの説明ないけど。ライト照らしていいの?」
「大体、そろそろ水換えたほうがいいんじゃないの?」
「底に何にも無くてさびしい。なんか入れていい?」
「稚魚生まれたら、隠れるところないよ。このままじゃ夜も眠れない。」

ひー。

じゃ・・・・水槽内にゴミもなくなったし、ちょうどいいから水を換えましょう。

「へ?だったら、底に汚いゴミウンチが溜まってるときに、水換えしたかったなぁ。」

いやそれはダメ。ウンチは大事な餌です。微生物への。

それ以外のゴミみたいなのは、微生物そのもの。コナミ餌では特にそうです。



でも、水は換えましょう。

飼育始めて一週間の水槽水は、水質の悪化が溜まってきた時です。

本当は、その状態で我慢して、

「ここはじっと我慢よ。 ですね。」
あ、台替わりたくなるセリフ。

その悪化した水質を改善する微生物が湧くのを待ちたいのですが、

それだと、残りの7匹が、ほんとにヒトミゴクーになってしまいますから。

水質を改善する微生物は、悪化した水質の中で生まれ繁殖します。
水質を悪化させなければ、それらは出てはきません。



じゃ、水換える前に、アンモニアと亜硝酸と硝酸塩を測ってみましょう。

アンモニア体窒素は・・・お〜、5mg/Lですね。

亜硝酸体窒素は・・・・ふむ。0.8mg/Lですか。

で。硝酸体窒素濃度は・・・っと、8mg/Lか。

まー こんなもん でしょう。

「ど、どんなもんなんすか?それって。」

アンモニアが5mg/Lというのは、グッピーが致死します、というレベルです。

他はまぁ まだ大丈夫。

「はやく、はやく水換えしましょう!!」



そこでご理解を。

この段階で水を換えるのは、まさにアンモニアと亜硝酸の除去のためです。

このまま高濃度のアンモニアの中にグッピーを存在させておくよりは、
新しい水と交換して、アンモニア濃度を薄めた中で、飼育したい、という水換えです。

「水換えって全部その目的でしょ?」

いえ。3ヶ月経過後の水換えからは、

硝酸塩や他の安定蓄積塩類の除去

が目的となります。アンモニア除去目的の水換えは滅多にしません。

この初期段階での水換えは、このように特殊な意味があります。



そして

キケンでもあります。

「え?ヤバイの?やっちゃダメなの?」

私なら、もちろんやりません。
ただし、それは微生物をたくさんもっているからです。
私の研究所での微生物環境があれば、水槽を新しく立ち上げたとしても
アンモニアや亜硝酸は ほとんど生しないでしょう。

この話の前提は、新品水槽で、新品濾過装置で、新品水道水。

飼育後1週間で、アンモニア濃度が5mg/Lになった、
さぁそれを排除するために水換えだ、

という場面に遭遇しました。

それでは始めましょう。60cm水槽、容積56リットルの水換えです。

「はぃ。キンチョーしますね。ダイジョブかなぁ。」


じゃ、買い物してきて。これ。

「へ?水抜いて水道水入れるだけじゃないの?」

それは、今、危険。今は真冬でしょう?

「9月です。残暑です。気温は27度もあります。」

冬、だと、して だよ。

水道水の水温は、10度も無い。そんな水は入れられませぬ。
 

グッピーは、環境変化にとっても、弱い。

グッピー購入したのが一週間前。

その数日数週間前に、そのグッピーは、どっかの卸店から袋に入って運ばれた。

雑種ぐっぴだから、多分、その前は、海外のどっかから袋に入って運ばれた、かもしれません。

ほら、こんなに、何回も何回も、いろんな目に合ってるグッピーに、

また今度、水換えをして環境をガラっと変化させてしまう・・・・

これは、実に 酷 と言うものですよ。

「なるほどねー。これも、秘伝話なんですかね。」

いえ。これは常識です。まったく秘伝には百万km遠い話です。


「じゃ、買ってきまーす。

えーと、18リットルの、赤い灯油タンクを・・・・4個。よんこ?多いなぁ・・・・

エアポンプ・・・・Nissoの?β6000 1個か・・・・ちょっと高いなぁ。

エアチューブ10mにぃ?エアストーンを4個で、金属の2分岐弁2個か・・・

あとは・・・

VP13塩ビ管用のバルブ1個・・・・2個がいい、って書いてあるな。じゃ、2個買うか。タカイなこれも。

で、VP13の塩ビ管を1m。VP13エルボーを2個。 え ル ボー なんつって わはは・・・

なになに・・・Φ18mmの散水用ホースを10m?あ、これか。

で、最後は・・・・風呂水汲みポンプ・・・あ、この980円のでいいや。

おわったー。」


じゃ、水換えシステムを作りましょう。

ちょっと大げさだけど、後々、このシステムがあると、とっても便利です。

「バケツリレーでいいじゃん。」

まぁね。でもバケツリレーって、どんなに慣れても水こぼすから。

さ、タンク4個に水道水入れて、曝気しましょう。エアレーションです。

「ぶくぶく・・・・この水を交換用にするの?あぁ汲み置きみたいなものか。

なんで ぶくぶく するの?」

気休めですが、
酸素は入るしpHも上がるし塩素とやらも抜けるし・・・

10日もやってれば、少し微生物も発生するかも。

「ふーん。・・・エ。 もしかして、水換えるの今じゃないの?」

いまじゃないよ。明日ですよ。

「えー。だって、水槽の水はアンモニアだらけでしょ!やばいじゃんやばいじゃん。

一刻も早く換えないと、やばいじゃん。」

だいじょぶだいじょぶ。もしダメならもう手遅れだし。

「おい!」

いやいや、ほんとはね。水槽設置する前にね、こんな水換えの道具を
ちゃんと用意したほうが良かった訳ですよ。

「そんなこと、言わなかったじゃないかー。ひどいよ〜」

でも、最初から、そんなタンク4個も買って水換えの道具までちゃんと作って準備して、

それから水槽準備して水作ってさ、

最後に熱帯魚買って飼い始める人なんて、この世にいませんょ。

「絶対に?」

まず、いないでしょう。最初は熱帯魚を買うんですよ。で、はっと気付く。

おや?水槽が、いるのぅ、

とです。

そんなモンですよ。

「ふー。失敗した。」


「はー・・朝が来た。ちゅんちゅんちゅんと・・・・待ち遠しかった。」

さ、じゃ水換えましょう。

「待ってろグッピー!いま助けに行くぞ。」

お湯沸かして下さい。

「へ?お湯?なんで?」

だってー。このタンクの水冷たいじゃないですか。こんな冷たい水を
入れ換えに使ったら、即死しますよ。

せめて20℃ぐらいにはしないと。

「つめたいなーなんで早く言ってくれなかったんだよ。タンク抱いて寝たのに・・・・」

まずは水抜きですがその前に水槽付近にタンクを持って行って抜いたらすぐに入れられる準備をしておきましょうね。

「へいへい。」

では、水槽関連の電気をぜーんぶ止めてください。

「へい。」

風呂汲みポンプにホースをつけて、ホースの先を流しにもって行って・・・・

奥さんかお子さんかおじいさんかおばあさんか隣のおっさんか通りの利口なイヌを呼んできて下さい。

「は?」

ここ抑えて〜って頼みたかったのですが・・・。

ポンプで水を抜き出すと、ホースが生き物のように暴れるので、御注意下さい、ということでした。

ま、なんかで固定すれば大丈夫です。さぁ、風呂汲みポンプを水槽に入れてェー!

「おー」

スイッチぃ オン!

「どっこーん どっこーん・・・シャー・・・・

へってく へってく・・・

グッピーは・・・あ、だいじょうぶ・・・ですね・・・」

順調、順調。

「あのー。どこまで抜くんですか?よく1/3換えるとかいいますけど・・・・」

あ、全部捨てましょ。全部は無理か。・・・じゃ、そこ2cmぐらいまで。

「えー・・・・そ、そんな。セオリー無しじゃないですか。」

だって、アンモニアの除去の目的ですから。ここはどーんと換えましょう。

大丈夫大丈夫。ヒトミゴクウだし・・・・

あ、いや、そのために、タンクやらエアレーションやら、お湯沸しやらをやったんですから。

何とかなりますよ。

「抜けました。グッピーが底2cmの水深でもがいています。」

さ、タンクの水を入れましょう。水温を25度ぐらいにして・・・・じゃーっと。

「やさしくですね。」

はぃ。じゃーっと。じゃーっと。じゃーっと・・・・。

「ふー。終わった・・・。運転再開。」

やー・・・結構、びちゃびちゃになりましたね。ぞうきんぞうきん。ふきふき・・・・。

「み、水換えって、大変だ。びっくりしました。」

ほんとねー。水量が50Lもあると大変。バケツリレーじゃ10回かかりますし。

「もー水換え、やりたくないです。」



【そこでもう一言】

で?今日の秘伝はなんだったの?



水槽内の流れ場の観察を良くすると、餌カス糞溜まりの場を
作らないようにすることができます。

水底にエアストーンを置いて、

エアレーションをするとエアストーン上方に強い流れが発生します。

その勢いは、結構強い。流れが水面に到達すると

こんどは水面を 水平方向に 流れが広がっていきます。

その流れが水槽壁面に達すると、

壁面に沿って下に流れが向かいます。

流れが壁面を沿って底に達すると・・・・

もはやほとんど流れは弱くなっていますが・・・

低層を這う流れとして、エアストーンに向かって行くのです。

エアストーンを中心とする循環流れが形成されるわけですね。

「そんなの、あったりまえじゃん。それがどうしたんだよっ」

その流れ場を想像し、自分の水槽をよく観察すれば、

糞やゴミや餌カスをストレーナーに上手に吸われる

エアストーンの置く場所を探せるでしょう。

「それが秘伝なの?」

これは、意外にも、秘伝です。



ぁ〜長かった。

明日に つづく。

【次回予告】

第十三稚魚艦隊誕生

株式会社環境技術研究所
前橋工科大学梅津研究室

Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU Ph.D.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy