連載「蛍の飼育と放流」第一回(07.04.27)


〜水棲生物の飼育と水質について〜

第一回は、水質についてです。

見た目の水の綺麗さで、水棲生物が快適に住めるとは限りません。

蛍の幼虫を水槽などの小容器で育てる場合、水質と言うのはとても気になるものですね。

特に、
金魚や熱帯魚などの魚類を育てる場合とは、ちょいと違った難しい面もあります。



【餌が、貝なんですよね。】

例えば、2齢幼虫を100匹、3Lぐらいの水が入ったプラケースで飼育するとしましょう。

2齢幼虫は、結構小さくて、100匹ぐらいでは全部あわせると
ひとつまみぐらいしかありません。

でも、水温が20度から25度ぐらいの比較的暖かい状況では、食欲満点。

7mmぐらいのサカマキガイなら5粒から10粒ぐらい、一日で食べることができるのです。

そうすると、実際にはかなり水が汚れてしまいます。

完全に食べずに、貝の死骸が発生した場合などは、水は白濁します。

そして、数日でケースの内側に白いふわふわの微生物が湧いたりします。

このように、魚類とちがって、
グッピー稚魚1匹にも満たないような、少量の幼虫でも、

おもわず多くの餌を与えがちなために、
蛍幼虫の飼育水槽は、直ぐに汚れてしまうのです。

プラケースなどで、エアレーションだけを行なって幼虫を飼育する環境では、
水の交換が大変重要な仕事となりますが、

頻繁な水換えは、
・水温変化
・水質変化
・幼虫の排除

などの弊害を生み、コリャいかんと数日間サボると幼虫全滅、

などの失敗もあるかもしれまません。



【濾過装置の付いた水槽での飼育は?】

真新しい水槽で、
真新しい濾過装置、

上層ろ過でも
下層ろ過でも
スポンジフィルターでも
パワーフィルターなどの外部濾過装置でも、

どんな種類の濾過装置でも、
残念ながら最初の1ヶ月は正しく機能しません。

濾過装置は、その内部に微生物が育っていかないと、ただのごみとり装置となって、
餌カスや貝の死骸から発生するアンモニアや有機物を

安全な形に分解することはできないのです。

ですから、濾過装置はできるだけ早めに運転を開始し、幼虫がまだ手にはいらなくても、
水槽のろ過運転は早めに始めておくことが必要です。

ただし、濾過装置は、幼虫を吸い込む危険性が限りなく高いので、
パワーフィルターなどは絶対に向いていない濾過装置の一つです。

上層濾過装置の水の吸い込み口に、ネットを張れば大丈夫
なのは
泳いで逃げることのできる魚だけ。

蛍の幼虫は、そのネットにへばりついて、離れることが難しい。
これを繰り返せば、弱って死んでしまうでしょう。

「エ〜・・・・そんなぁ。どうしたら、いいの?濾過装置使えないじゃん。」

そうです。現在市販されている濾過装置では、蛍の幼虫飼育に向いているのは
せいぜいスポンジフィルターぐらいです。

でも、1齢幼虫はスポンジフィルターの中にも、ガンガン入り込みます。

下層ろ過は、それなりに生存率は高いのですが、

幼虫も下層に生息しますので、石のなかにガンガン入り込み
皆さんの心配な気持ちには拍車がかかります。

〜幼虫が見えねぇ!〜


なります。

「ひぇ〜・・・じゃ、エアレーションだけで、毎日水換え、それしかないの?」




       こ
                で、

開発したのが、

【蛍の生涯観察飼育箱】

なんですよ。

「な、なんだ、宣伝か。」

宣伝です。

蛍の生涯観察飼育箱の中にはひろーい面を持った濾過装置が内蔵されています。

そして、それは陸地のベースともなっていて、

水中で、幼虫を飼いながら、
幼虫は大きくなって
上陸できる大きさとなって、

水温や気温が上がって行くと、勝手に上陸します。

「ほほー・・・そ、そりゃ、陸地が一体化、してるもんねぇ。ま、当然だな。」

そうです。

そして、陸地はいつも、ほど良い湿潤状態となっていて、
土の中で行なわれる蛹化を安全に行ないうる環境を作っているのです。

「うーむぅ。で、でも、その陸地になっているところに、幼虫が入り込んじゃうのでは?」

入り込みます。入り込んでしまう幼虫もいます。

「だめじゃん。」

とはいえ、流速は極端に小さく、流れはほとんど無いので、出てくることが可能です。

入り込んで死ぬという欠損が0であるとは言い切れませんが、
水域と ろ過部が 一緒の容器にあって、
全体ではわずかな水循環しかない環境なので、

幼虫が保護される確率は高いのです。

「ぅ、ぅーむぅ・・・・なんだょ。いいことばっかり言って。」

なにしろ、宣伝なので。

「じゃ、入れた幼虫、全部成虫になれるの?」

なりません。

弊社の実験研究で、そして前橋工科大学の梅津研究室で、

最高に成功した例で50%です。

2齢幼虫からでは10%が成虫と成れたなら、成功なのです。

「なんだ、たったの10%なの。がっかり。そんなもんか・・・」

残念ながら、そんなものなのです。蛍はとても増えにくい昆虫なのです。

「ま、とにかく、その蛍の生涯観察飼育箱、ってのなら、なんとか平家蛍なら飼えるというわけだ・・・」

この飼育箱は、ポロっとちょろっと、テキトーに、作ったものでは ありません。

試作品は十数個、試験飼育も何度も何度も行ないました。

繰り返し行なわれる容器の開閉にも細心の注意で設計しています。

「どこが?」

例えば、水が滴らないように、とか。

「ほぅ」

例えば、成虫が逃げてしまわないように、とか。

「ホー」

例えば、成虫を、蓋閉めるときにうっかり潰さないように、とか。

「ほー」

弊社の10万匹に及ぶ幼虫群も、この装置で飼育しているのです。

「ェー!一箱でぇ???」

まさか。もちろん複数個使用しています。



「これ、第二回って、あるの?」

あ、ありマス!

 

【予告】

 蛍の幼虫放流だ、じゃ、その条件は?

近日、本サイト EEL NEWSにて


 
予[[
「おぃ、今日のタイトルに放流ってあるぞ、書いてねぇぞ」

あ、あした・・・・連休だし。

株式会社環境技術研究所
前橋工科大学梅津研究室

Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU P.hD.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy