導入事例の紹介A】東京都神津島蛍飼育見学施設(2005.06.05)


「蛍を見たことのない島の人たちに、蛍を見せたい」

2003年の春頃でした。
伊豆七島神津島の村長さんが、そのように切望しているとの
情報を、佐藤工業株式会社を通じて私の元に寄せられました。

なんといっても、
「こうずしま、ってのは、いったいどこに?」
ぐらいの知識しかない私には、まずは調査するしかありません。

その島には蛍はいないという。さて問題だ。環境保護の面から言えば、
島の内部に他からの生物を入れるということに対して、どのように考えるべきであろうか?

そうです。
どうやって島というところで蛍を育てるかなんぞという問題など二の次。
まずはその問題を解決しなければならないと思いました。

したがって、佐藤工業の皆さんと共に、調査に調査です。
神津島には本当に蛍はいないのか、村民の方々はどのように考えておられるのか?

そうした調査と共に現地を知るために、初めて神津島に渡ったのは、2003年の9月のことでした。

遠い。
フェリーで夜の11時ごろ出向し、到着はあくる日の9時頃。

しかし、下船して見た風景は、驚くほど美しく澄んだ海と、
真っ白い砂礫の断崖絶壁がそびえる
神の集まる天上山
「そうか、こういうところなのか!」
自然の豊かな静かな島
それが
神津島でした。

村長さんや村役場の方々と話し合い、私たちの調査結果を報告し、そしていくつかの提案をしました。
もっとも確実に、安全に蛍を見せることのできる方法として、
環境保護を考えた方法として、
屋外に密閉空間を作り、そこで蛍を育てましょう!
そして、その場所を蛍の拠点としましょう。
ということになりました。


神津島では、十数年前から何度となく蛍出生には、既に挑戦しており、
水の豊かなこの島の山奥の沢では以前に放流されたカワニナが自生していました。
その場所で、源氏蛍がチャレンジされたということでした。
そうしたこともあり、この地で蛍を出生させるということに対する理解を
島の人々は持っていると判断したのです。

ともかく私たちは、極わずかしかない沢や、天上山などにもさんざん登り、
様々な場所で、さらに現場の調査をしました。
こんどは、場所探しです。

神津島は、実に水の豊かな島です。
水配りの神話にあるように、保水性の高い岩質は、
いたるところで
澄んだ綺麗な湧き水を絶えることなく流し続けていました。
その意味では、蛍も考えられなくはありません。


しかし、風が強いこと、勾配がきつく、流れの緩やかな川が存在しないこと、
水棲貝が希薄であることなどから、この地の現状で、蛍の出生環境を構築することは
多大な費用が必要となる、という結論に至ります。

そこで、日当たりのさほどよくなく、風の影響を受けにくい場所に、
完全閉鎖の人工的な蛍のための生息環境を構築することを提案しました。
そう、蛍のビオトープ
つまり
「ピカトープ屋外版」構想の誕生でした。

つまり、本来はオープンな自然の中で蛍が飛翔する姿がもっとも
望ましいのですが、この島の環境では、
あっという間に全滅してしまう可能性があまりにも高かったのです。




そうして、神津島の蛍鑑賞施設は、2004年5月に、
物忌奈命神社境内の林の中に完成したのです。

突貫で構築したこの施設には、完成直後に3齢幼虫から5齢幼虫を1万匹が放流されました。
着工から放流までわずかに1ヶ月。
なんとかこの年に成虫を出すため、準備万端で望んだ結果です。

小学校6年生の子供たちと、役場の皆さんとで、放流式が行われ、
神津島に蛍の施設が登場したのです。

そして、昨年は、5月の半ば頃、最初の成虫が羽化し
ピークでは500匹以上の成虫が闇の林を照らし出しました。
成虫の発生期間の長い平家蛍は、9月の半ば頃まで成虫が出続けたそうです。

この夏、神津で誕生した2期目の蛍がまだ名前の付いてない、
このピカトープで見られることでしょう。



そこで一言
問題は、餌不足。こればかりはなんとしようもない。
池も掘ったが、まだまだだろうなぁ


海に山に温泉に、イセエビおいしい神津島
透視度30mダイビング、真っ白砂浜遠浅だ。

蛍も見られる神津島。

ぜひ一度、お訪ねください。
株式会社環境技術研究所
前橋工科大学梅津研究室

Editor (oo)Tsuyoshi UMETSU P.hD.
Associate Professor 
Maebashi IInstitute of Technoloy