[趣味と勉強を兼ねた市販の小型水槽での養殖風飼育からのスタートはいかがですか』
 

内陸での海水魚養殖に興味を持たれ、
事業化をイメージされた方々からの問い合わせが多くあります。

まったく海水魚を飼育した経験がない方に、最初のイメージを持っていただくため
小型水槽での飼育方法を、ごく簡単に記載いたします。
 

市販の60cm水槽(容積60L) を用いた場合で説明します。

熱帯魚観賞魚用水槽システムは、

・ガラス水槽(横幅60cm、奥行35cm、高38cm程度)
・上層ろ過装置(ウレタンマットなどのろ材、ポンプ付き)
・上部蓋
・照明器具
・ヒーター

などが全て付いてセットになっています。

価格は、5,000円〜1万円程度です。

このようなセットは弊社では販売しておりません。

熱帯魚ショップやネット販売で簡単に手に入れることができると思います。
 

この水槽セットを使用して、まずは海水魚を飼育してみてはいかがでしょうか。

養殖を対象とした場合には、おおむね冷たい水の魚が対象となります。
そのためヒーターは必要ありません。

照明も特には必要ないのですが、重い蓋として多少役に立つかもしれません。
 

ろ過装置をセットして、市販の人工海水を購入し、海水を作り、
水循環を開始します。
 

新しい水槽は、水循環を開始しても、まったく水をきれいにする能力はありません。

ろ過装置は、水中のごみをとるだけではなく、

ろ材についたバクテリアによって、水の汚れを分解するものです。

したがって、新しい水槽と新しいろ過装置では、汚れた水は全く浄化しないのです。
 

そこで、金魚や熱帯魚の餌などを買ってきて、一つまみ入れると良いでしょう。

魚のいない水槽に入れた餌は、水中でその栄養源が水に溶け出し、水に汚れを作ります。

そうすると、その汚れを食べて分解するバクテリアが自然に発生し、

ろ過装置の「ろ材に住みつき」ます。このバクテリアが水をきれいにするのです。

これを1ヶ月(最低でも2週間)継続させると、ある程度のバクテリアが発生し、

その水槽は水質を維持する能力が生じ始めます。

これが、水槽のセッティング期間(立ち上げ期間)です。
 

ろ過装置内に、高速にバクテリアを繁殖させるには、

何年も使っているお友達のろ過装置のフィルターを絞って、濁った水のまま持ち帰り

自分の水槽のろ過装置に入れる。(濁ったまま、いれます。)
 

ハゼなどの小魚の一匹飼育であれば、バクテリアの発生を待たずに、

循環開始後、すぐに水槽に入れることができます。

餌は、ごく少量として、とにかく飼育を続けるうちに、

バクテリアの発生が追いつけば、それで水槽は立ち上がることになります。
 

もし、数日後に死んだとしても、すぐには死骸を取り出さずに、

1日程度置いておくと水がより汚れて、バクテリアの発生を促します。
 

そのあと1週間ほどたつと、その汚れはバクテリアによって分解され

水質は改善されます。
 

このようにしてバクテリアが発生することによって、いわゆる「活きた水」となっていくのです。
 
 

海水魚の入手は、

@熱帯魚屋さんで購入する、A自分で捕獲する となるでしょう。

(弊社でも、ひらめやとらふぐの小魚がいる場合には、
販売することは可能ですが、時期があって販売できないことがあります。
また、どの店でもそうですが、飼育後の生体の保障は一切致しません。)
 

養殖をターゲットとする場合には、
飼育するものは熱帯魚ではなく、防波堤で釣れる魚が良いでしょう。
 

ハゼ、メジナ、イシダイ、クサフグ、オヤピッチャ、ネンブツダイ、メバル、
キス、メゴチ、子アジなどの魚種であれば、

防波堤では小さいものが釣れ易いと思います。
 

イワシ、イシモチ、サッパなどのうろこがはがれやすい魚種は、
運搬に弱いので持ち帰ることが難しいと思います。
 

5cm〜10cmぐらいの若魚が適しています。

釣ってからは、生きて家まで持って帰る工夫が必要です。

釣れた際に、バケツなどにすぐ入れて水中で針をはずすと良いでしょう。
たくさん釣れても、針を飲んだり、傷ついたりしたものや
すぐに弱ったものは、海に返すと良いでしょう。

持ち帰る魚を厳選し、バケツの水を何度も何度も交換します。

発泡スチロールに入れて、エアーを入れて水温を保持し
なんとか家まで生かして持ち帰るチャレンジとなります。

そして、水槽に入れて飼育を開始しましょう。
 

この60cm水槽での飼育を行うと、さまざまなことがわかり
さまざまなことを想像し
さまざまな世話をするかもしれませんし
なにやらいろんな工夫をし出すことになるかもしれません。

(あるいは、全く世話をしない自分を発見するかもしれません。)
 

餌の工夫なども考えるでしょう。

おおむね1週間から1ヶ月で死滅することになると推測されますが、

場合によっては、半年も長生きして大きく成長させることができるかもしれません。
 

水槽とともに過ごす日々の中で、さまざまな情景を見ることができます。
 

飼育水が、濁ったり、色が付いたり
魚が病気になったり、
水換えで水をこぼしたり、
魚が跳ねて飛び出したり、
水面が泡だらけになったり
臭いが発生したり
ポンプに海水をかけて感電、破損したり、
水槽のガラス面が茶色になって汚れたり、
底に糞がたまってふわふわ舞っていたり、
砂や岩やモアイ像やピカチューを入れてみて、ただ邪魔だった と気づいたり、
ろ過装置の中が、実に汚くなったり、目詰まりしたり、
ポンプ導水管が、いつの間にか、汚れがびっちり付いて流量が1/5になったり、
大小たくさん魚を入れたら、
小さいのが目の前で丸呑みされる事件の目撃者となったり、
蟹も入れたら逃げたり魚の鰭がぼろぼろになったり。

モーターやエアポンプの音がうるさいと奥さんに言われたり
お子さんが手を突っ込んで水なめていたり小魚をわしづかみにしたり
酔って帰って餌を大量に与えて次の日 ものすごい情景があったり

水槽台が傾いてとんでもないことになったり

水温は室温と同じとなることから
6月の梅雨前の晴天の夕方、出張から帰宅したら墓場になってしまっていたり

3日に一度、ろ過掃除を完全に洗浄して、ものすごくきれいにするので
バクテリアが沸かず、いつまでたっても魚が死に続けるという世界不思議体験をしたり・・・
 

など・・・いろいろと問題が発生するかもしれませんが

魚が餌を食べる姿や、遊泳する姿をみて楽しみながら

養殖について考えることができるかもしれません。
 
 

よく聞かれるコストに関しても

例えば半年、60cm水槽で、あれこれがんばって投資した額を認識すれば
 

まさか
 

5万、10万の出資で・・・装置も魚も餌も電気代も飼育技術の習得も
なにもかもを全部まかなって
趣味と実益を兼ねた養殖を始めることができませんか?
 

・・・などという驚愕の思想から解脱することが もしかすると 

できるようになるかもしれません。