陸上での海水魚養殖について

海から離れて海水魚の養殖を行う方法についてその概要を説明します。
 

[海水]
内陸で海水魚を養殖するためには海水が必要となります。
海から海水を輸送するか、海水の成分と似せた人工海水を作って行います。
人工海水のコストは、5,000円/ton〜10,000円/tonです。
 

[養殖手法]
養殖手法には、汚れた水への対処をどのようにするかで、以下の3種類に大別されます。
 

1.かけ流しによる養殖

→何らかの方法で常時海水を投与し続け、
基本的には汚れた使用済み海水は餌かす糞ごと下水や河川に捨てる方法です。
内陸でこれを行うことは非常に困難ですが、
岩塩を砕いて次々と安く人工海水を作れるとか、
養殖魚種に適応する地下水温泉水などが大量に得られる、
というような場合にはかけ流し養殖は可能となります。
 

2.ろ過による水質浄化+定期的海水の入れ替えによる養殖(5%換水)

→ろ過装置を付加して、飼育水中のアンモニアや有機物を分解し、
飼育水を安全な状態に保ちます。しかし、長期的に水換えをしないでいると、
硝酸が蓄積するので水が酸性化し、さまざまな弊害が発生します。
そこで、一日あたり総水量5%程度の水換えを行い、硝酸濃度を安定に保ちます。
その際に、糞や余剰なバクテリア(ヘドロ)なども破棄します。

この手法では、1ヶ月で1サイクルの水換えとなりますが、
硝酸増加によるpH低下を、アルカリ剤添加によって阻止すれば、
飼育水は(一応)水換え無しで長期使用ができます。
ただし、凝結塩の発生によって循環系に障害を引き起こしますし、
海水の成分はどんどん悪化しますので、1年間は持たないと思われます。

水質を維持するための装置としては以下のようなものがあります。
・硝化槽(好気処理槽):アンモニアや有機物を分解します
・沈殿槽:糞などの沈む固体を底に沈めて除去します。
・泡沫浮上分離装置:水中の微細な汚れを泡で除去します。
・殺菌装置:水中に漂うバクテリアを弱らせてその浮遊を防止します。
・水温制御機器:水温を適切に保ちます。

その他(主なもの)
・洗浄場
・水質分析
・水換え用予備タンク
 

3.水換えなしで行う養殖(無換水)

→上記2の方法に加えて可能な限り水を換えをしない養殖です。
@上記2のシステムの中で破棄している水の再生を行います。
・硝化槽の底部にたまったヘドロを取得した排水
・沈殿槽の底部にたまった糞などを含む排水
・泡沫浮上分離装置から出された泡廃液
これら2では破棄していたものを再生処理する装置を持ちます。
A通性嫌気性の脱窒菌を用いて、硝酸の除去(脱窒)を行い、
窒素ガスとして気体化排除します。これを行う脱窒装置が付加されます。

このようにすれば水を換える必要性は当面ないわけですが、
長期に同じ飼育水を使用すると成分が変わって生きますので、
数年単位で1サイクル程度の水換えは必要と思われます。
 

上記は、ひらめやとらふぐを対象としたもので、飼育密度を5%と想定した
場合の目安です。

貝類、甲殻類、無脊椎などの魚類以外の養殖の場合は
弊社にその知識はありません。